ドバイ:COVID-19の大流行後の消費急増の後、2023年7月に横ばいとなり、世界規模で平常に戻った高級品市場は現在、「小売業者、ブランド、デベロッパー、民間と公的セクターの間でより多くの協力が必要」となっている、とチャルホブ・グループ(Chalhoub Group)のパトリック・チャルホブ社長はアラブニュース・フランス版のインタビューに答えた。
「COVID-19の後、私たちは速やかに回復し、2021年には2019年と比較して10〜15%の割合で高級品市場が伸びを見せました」と彼は付け加えた。
2022年には市場は20%成長し、2023年には年初に15%の成長率を記録した後、第4四半期には7〜10%と通常の成長率に鈍化し、全体では11%の成長となった。
今後は、スキンケアへの関心の高まりに牽引され、ファッションが6〜8%、ビューティーが10〜12%と、2023年末に見られたような傾向になると予想される。
中東は、世界市場の3~4%を占めるに過ぎない市場でありながら、「世界でも最も高い成長率のひとつ」であり、4~5%で成長しているとチャルホブ氏は言う。
2021年、2022年の消費パターンに特徴的な「反動買い」とは一線を画し、ラグジュアリー志向が続き、宝飾・時計分野への関心が再燃している。
「価格に対する感度が高まり、為替変動によって生じていた価格差が小さくなっていることを実感しています。今日、顧客は価格を常に意識しており、知識も豊富になっています」
贅沢品消費における全体の支出のシェアはここ数年で減少し、特にサウジアラビアでは旅行、娯楽、ホスピタリティに消費がシフトしている。
ガザ紛争は、2023年10月以降の人道問題への関心の高まりと、前年同期に比べイベントがすくないことから、贅沢品消費の鈍化をさらに誘発した。
現在の市場環境にもかかわらず、購買力を誇示するものとしての高級品ではなく、それ自体の価値に対する高級品への評価が台頭しており、持続可能な消費と幸福感を原動力として、ラマダン・シーズンにさらにそれは顕著になっている。
「消費者はブランドの目的や持続可能性について尋ね、目的を持って買おうとしています」
「私たちのビジネスはよりチャレンジングになりますが、長期的にはより持続可能なものになります。ブランドによって安心感を得ながらも、見せびらかすのではなく、より個人に基づいた買い物をするのです」と付け加えた。
電子商取引はその利便性から依然として急速に発展しているが、顧客との個人的なつながりや関わりを提供する実店舗は、小売業者が質の高いサービスやユニークな体験を提供することで復活しつつある。
これが、2023年11月にジェッダのキング・アブドルアジーズ国際空港でチャルホブ・グループが立ち上げた新しいトラベル・リテール・コンセプト「The Visitor」の目的だという。
「サウジアラビアにおける可能性は、交通量と顧客ロイヤルティによって大きなチャンスをもたらすジェッダ空港だけでなく、とてつもなく大きく、進化しています」とチャルホブ氏は語った。
ジェッダ空港当局との協力によるこのプロジェクトは、世界クラスの顧客体験を提供する。チャルホブ・グループの市場に関する知識、消費者への理解、地域免税店の運営の実績を活用し、旅行小売の供給、需要の要件と人工知能のような新技術がもたらす混乱に対応するリソースのスキルアップをもたらす。
「レイアウト、顧客理解、商品構成、提供するセレクション、最初の成果に満足しています。……2025年初頭までにより完成にちかずくでしょう」と彼は付け加えた。
中東には、「贅沢品の購買力を持ち、デジタルになじんだ、好奇心の高い、自己主張に熱心な」若い顧客層が多い。
「顧客体験は、ショッピングモールやハイストリートの魅力だけでなく、デジタル面の魅力から始まります。そのためには、より強力なコラボレーションが必要であり、特にサウジでは、顧客が求める体験とその過程を提供することが重要です」とチャルホブ氏は語った。
価格競争力の維持、偽造品との戦い、サプライチェーンの混乱による影響の軽減も重要だ。
バーレーンのMarasi(2024年2月)、リヤド(2024年予定)とアブダビ(2025年)のSolitaireなど、この地域に新しいモールがオープンし、「より良い顧客体験を提供し、様々なステークホルダー間のより良いコラボレーションを実現する、数多くのプロジェクトが市場に登場しています」とチャルホブ氏は述べた。
同グループは、新興企業のためのインキュベーターやアクセラレーターを設立するイニシアチブを取り、研究・革新と起業家マインドをチーム内に奨励している。
「世界は変わりつつあり、消費者はより力を持つようになっています。チームワーク、包括性、革新性を中心としたグループとしての価値観を忘れず、将来を見据えた行動をとる必要があります」と付け加えた。
シャルホブ・グループは今年創立70周年を迎え、この地域の変化を目の当たりにし、チャンスと挑戦の両方を受け入れながら、この地域に国際的な名声をもたらし、地域の専門知識を輸出することによって、ラグジュアリー・スケープを形成し続けている。
アンスティチュ・ドゥ・モンド・アラブがチャルホブ・グループ、フランスのパートナー数社、クリストフル、ガワリと共同で開催する展覧会「Parfum d’Orient」は、ジェッダのスークからインスピレーションを得たアラビアの香りの起源を描いている。
「ウード、サフラン、ダマスカスのバラなど、アラビアの香りの起源をたどる変幻自在の展覧会です。香りの面だけでなく、これらの製品の産地であることに誇りを感じるでしょう」とチャルホブ氏は語った。
3月17日にパリで終了した6ヶ月間の展覧会は、サウジアラビア文化省との協力のもと、2024年10月にリヤドに場所を移し、第2期が開催される予定だ。