ワシントン: 米ワシントンで開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日午後(日本時間19日未明)、2日間の日程を終え閉幕した。共同声明を含む成果文書は発表しなかった。終了後に記者会見した鈴木俊一財務相は当地での一連の会議の成果として、日米韓の3カ国で為替市場の動向に関し「緊密な意思疎通を行うことができた」と強調した。
鈴木氏は、初の日米韓財務相会合で「急速な円安・ウォン安に関する日韓の深刻な懸念」に言及した共同声明をまとめたことについて「画期的な成果だった」と述べた。
G20会議には日銀の植田和男総裁も出席した。議長国のブラジルは今回、気候変動対策の資金確保や国際開発金融機関(MDBs)改革などに議題を絞って協議。日本の財務省幹部によると、「成果文書はもとより予定されていなかった」という。2月の前回会合では、ウクライナやパレスチナ自治区ガザの地政学上の問題で意見の溝が埋まらず、声明採択を断念した。
鈴木氏はG20会議で、気候変動対策などのため途上国が世界銀行やアジア開発銀行から融資を受けやすくする保証供与といった支援を積極的に進める考えを表明。ウクライナ侵攻を続けるロシアを「最も強い言葉で非難した」という。
日本円や韓国ウォンなど多くの通貨に対してドル高が進む為替に関し、各国からの直接的な発言はなかった。一方、「米国の金利が高い中で、資金流出、ドル建ての債務が膨らむことへの懸念を述べた国はあった」と明らかにした。
議長国であるブラジル中央銀行のカンポスネト総裁は終了後の会見で、「強いドルは問題で、各国で政策対応を迫られる」との認識を示した。
時事通信