東京:トヨタ自動車の豊田章男会長は、今週、株主の不満に直面することになりそうだ。
6月18日の年次株主総会で予想される投票は、トヨタが最近、自動車の認証試験の不正を謝罪した後に行われる。トヨタを含む日本の自動車メーカーで起きている一連の問題は、安全性に問題はないと言われており、リコールも発表されていない。しかし、トヨタは日本のグループ会社が生産する3車種の生産を停止した。
トヨタの株価は過去5年間で3倍の3,800円(24ドル)近くまで上昇したが、今回の問題で下落に転じた。トヨタの株価は現在3,000円(20ドル)以上で取引されており、時価にして約3兆円(180億ドル)の損失となっている。
ドイツの資本市場会社であるドイツ取引所グループが過半数を所有し、投資家へのアドバイスを行っているインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズ(ISS)は、その委任状報告書の中で、豊田会長は「最終的な責任を負うべき」と述べた。
同報告書は、豊田会長の変革の約束は取締役会の入れ替えを伴うものではないと指摘した。ISSは、トヨタは現場の従業員とのコミュニケーションを改善する予定だと述べたが、テストでの不正問題の再発を防ぐには十分ではないだろう、と述べた。
ISSは、「トヨタは企業文化を守ろうとする傾向が疑われる」とも述べた。
ISSは、2023年に就任したトヨタ自動車の佐藤 恒治最高経営責任者を含む他の取締役の任命には反対していない。
昨年は、小型車を製造するグループ会社のダイハツ工業、トラックメーカーの日野自動車、フォークリフトやその他の機械を製造する豊田自動織機で、衝突テストを含む車両の不適切なチェックに関わる不祥事が相次いだ。
日本政府関係者によれば、こうした違反は本田技研工業、マツダ、スズキでも見つかったという。
もう一人の大株主である委任状顧問会社グラスルイス&カンパニーは、豊田氏ともう一人のトップである早川茂氏の再任に反対票を投じるよう勧告した。
「具体的には、豊田氏には、当社グループが適切な内部統制を維持することを怠り、グループ各社において適切なガバナンス対策が実施されることを保証しなかった責任があると考えます」
「さらに、トヨタグループ全体で広範に問題が発生していることから、豊田氏のリーダーシップの下で発展してきた企業文化について、さらなる疑問が投げかけられている」
サンフランシスコに本社を置くグラスルイス社によれば、早川氏は取締役の選任を監督しており、より多くの独立取締役を加えるべきだという。また、気候変動に関するトヨタのロビー活動に関する提案に反対票を投じるよう勧告し、より多くの情報開示の必要性を強調した。
豊田会長の下、トヨタ自動車はエコカーへの「マルチ・パスウェイ」アプローチを推し進め、ガソリンエンジンと電気モーターの両方を搭載したハイブリッド車を重視し、一部のエコロジストが自動車排出量削減のために支持しているバッテリー電気自動車に注力する代わりに、水素を燃料として使用している。
プリウス・ハイブリッド車、レクサス高級車、カムリ・セダンのメーカーにちなんで名付けられた日本の中心都市にある本社で開催される株主総会で、豊田会長が更迭される可能性は低い。
トヨタの100万人近い株主のうち最も多いのは、日本の銀行や金融機関などの日本企業で、トヨタに対抗する可能性は低い。グループ会社の豊田自動織機は第2位の株主である。
日本では長い間、関連会社間での株式持ち合いが主流であったが、徐々に解消されつつある。昨年、彼は85%近い得票率で再選を果たしたが、これは2022年の96%から低下した。
SMBC日興証券の自動車アナリストである牧和典氏は、トヨタ自動車に関する最近のレポートの中で、トヨタ自動車が一時停止した出荷台数は世界販売台数の1%か2%に過ぎないと指摘した。
また、工場で働く従業員が、細心の注意は払っているが安全には不可欠ではないと見られるルールを回避した可能性も示唆した。
月期のトヨタの利益は、自動車販売の急増と円安による海外収益の拡大により、前年比倍増の4兆9000億円となり、自社の予想を上回った。
トヨタはEVへのシフトが遅れているとはいえ、3月期には940万台を販売し、世界トップの自動車メーカーである。
CFRAリサーチの株式アナリスト、アーロン・ホー氏は、「同社は好調だ。最近のスキャンダルは「ほんのわずかなへこみ」にしかならないだろう、と彼は言う。「根本的な問題はない。生産が止まっているため(おそらく数ヶ月間と推測される)、配送に影響が出るだろうと考えているだけです」と彼はAP通信に語った。
「企業文化や会社の管理体制に悪化は見られない」
今回の問題に対する謝罪の中で豊田会長は、2009年に最高経営責任者(CEO)に就任した直後、「意図せざる加速」と呼ばれるリコール騒動に米国で直面したことに言及した。
豊田氏は議会から質問を受け、謝罪した。今回は、トヨタはもっとひどい経験をし、生き延びてきたのだと、世間だけでなく自分自身をも安心させているように見えた。
「我々は完璧な会社ではない。しかし、何か間違ったことがあれば、一歩引いて、それを修正する努力を続けます」と語った。
AP