
日本の消費者支出は2月に減少したが、新型コロナウイルスの感染拡大の悪化を受けて消費者がマスク、トイレットペーパー、食料品の確保に奔走したことで、減少のペースは予想より小幅にとどまった。
だが、4月7日に発表された政府のデータによれば、旅行や娯楽の支出は落ち込んだ。これは、3月に渡航禁止や社会的距離の確保の政策が施行される前に、既に消費者が不要不急の支出を控えていたことを示している。
東京を含む主要都市の経済活動を1か月にわたって麻痺させる可能性が高い緊急事態宣言を4月7日に安倍総理が発令することにより、パンデミックによる消費の落ち込みが今後数か月にわたって大幅に加速するとアナリストは予想している。
「このパンデミックは消費と仕事に直接打撃を与える前例のない種類の経済危機です」とニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次は語った。
「3月以降、かつて経験したことのない規模で消費が急落する可能性があります。このような危機にあって、日本は、他の主要経済大国と同様に、ヘリコプターマネーに乗り出さざるを得ません」矢島は言う。
2月の家計支出は前年比0.3%減と、5か月連続の減少となったが、平均市場予測の3.9%減および1月の3.9%減に比べれば減少幅は小さかった。
2月のトイレットペーパーの支出は前年比47%増と急上昇し、国内パッケージツアーの支出は37%減と落ち込んだ。
日本銀行による1~3月四半期の別の調査は、日本の消費者の経済見通しが2008年のリーマンショック以来、最も悲観的だったことを示し、感染拡大が世界3位の経済大国に与えている打撃の大きさを浮き彫りにした。
パンデミックが引き起こしたサプライチェーンの崩壊、渡航禁止、社会的距離確保の政策は、既に景気後退寸前の状態にある日本経済に打撃を与えており、痛みを緩和するための強力な措置を政策当局に求める圧力が高まっている。
4月7日、安倍総理は、パンデミックに対応した政府の経済刺激策が世界最大規模となるもので、そのうちの直接の財政支出が3580億ドルに上ると語った。
安倍総理が経済刺激策の真水部分の規模を明かしたのは初めてのことで、総理によれば、経済刺激策の総額は国内総生産の20%に相当する108兆円となる。
39兆円(3580億ドル)の支出は、2008年のリーマンショックによる打撃から立ち直るために日本が支出した金額の2倍以上となる。
経済刺激策はパンデミックによる直接的な損害を緩和する可能性があるが、既に国会議員は倒産と失業を防止するためのさらに大規模な支出を要求している。
「日本経済は今四半期に2桁の縮小に見舞われるでしょう。感染拡大による損害は7~9月期まで持続する可能性があります」と元日本銀行政策委員の木内登英は語った。
「おそらく政府は、さらに多額の支出で経済を刺激するための新たな補正予算を間もなく編成するでしょう」と、現在、野村総合研究所のエコノミストである木内は言う。
(1ドル = 109.0400円)
ロイター