
日本製鉄は3日、米民主党のハリス副大統領が同社による米鉄鋼大手USスチール買収に反対を表明したことを受け、「買収は他のどの選択肢よりも、ラストベルト(さび付いた工業地帯)を再活性化させ、労働者や国家安全保障に利益をもたらすと確信している」とのコメントを発表した。その上で「規制当局の審査で効果が支持され、買収が早期に完了することを期待している」と訴えた。
日鉄は8月、買収後に13億ドル(約1900億円)の追加投資を行うと発表。コメントでは、こうした大規模投資は同社だけが実行可能であり、「USスチールと米鉄鋼業界全体は、より強固な基盤を築くことができる」と強調した。
買収を巡っては、全米鉄鋼労組(USW)が反対を表明。労働者票の取り込みを狙い、トランプ前大統領も阻止する考えを繰り返し述べており、民主・共和両党の大統領候補が反対姿勢を示す格好となっている。
これに対し、日鉄は年内の買収完了を目指し、トランプ前政権で国務長官を務めたポンペオ氏をアドバイザーに起用。担当の森高弘副会長も地域有力者らとの現地での対話などを通じて、理解を醸成したいとしている。
時事通信