
ANAホールディングスが、新型コロナウイルス感染収束を8月末と想定した新たな事業計画をまとめたことが1日、明らかになった。これまで5月末収束としていた想定を、感染拡大の状況を踏まえて見直した。さらなる資金調達の準備や役員報酬のもう一段の減額、新機材導入の先送りなどを実施する。
新計画では9月以降、段階的に運航を再開するが、2021年3月期末の需要は、国内線が7割、国際線が5割の回復にとどまると予想。「完全な需要回復」は22年3月期にずれ込むとみている。
当面の手元資金のめどは付いたとした上で、影響の長期化を見据えてさらなる資金調達を準備。既に実施している運航・客室乗務員や地上職員の一時帰休に加え、雇用調整助成金を申請し、人件費負担の軽減を図る。
役員報酬のもう一段の減額とともに、労働組合と賃金について協議する。雇用堅持の方針は変えない。
また、新機材導入の先送り、航空機やエンジン、座席のメーカーへの支払い延期、来春の採用数圧縮といった手も打つ。空港ラウンジの閉鎖や縮小、機内サービスの簡素化も進める。
一方、今年8月末の収束よりも厳しいケースを想定した計画も並行して検討していく。
4月28日に発表した20年3月期連結決算は、需要減退で多くの路線が運休・減便に追い込まれ、純利益が前期比75.0%減の276億円と大幅減益を余儀なくされた。