
フランク・ケイン
ドバイ:原油相場ではパンデミック・ロックダウンの緩和や経済活動好転の兆しに期待感が高まり、原油価格は月曜日に大幅に上昇した。
「原油が戻ってきた!」。米国指標のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)が7%上昇して1バレル約32ドルと1か月ぶりの高値を付けたことを受け、トランプ米大統領はこうツイートした。国際指標であるブレント先物も約7%上昇し、約35ドル前後を行き来している。
原油の需要回復の大きな要因は世界最大の製造国である中国にある。専門家によると、中国における原油需要はパンデミック前の水準にほぼ戻っているという。現在の1日の消費量は約1,300万バレルで、1月のロックダウン時点レベルに戻るのにあと一歩というところだ。
市場心理は欧州と米国におけるロックダウン緩和の兆しにも励まされた。
需要回復は先月のサウジアラビアとロシア主導による歴史的な協定から始まった。世界生産から日量970万バレルを削減するという前例のない合意に続き、サウジアラビアやその他の湾岸産油国も自発的に追加減産を行った。
それ以来、ブレント先物価格は約75%上昇した。サウジアラムコは代表油種の公式販売価格を地域の指標であるドバイ・マーカンタイル取引所(DME)のオマーン原油先物に基づいて決定しているが、そのオマーン先物価格も2倍以上となり、昨日は35.46ドルで取引を終えた。
「この功績はサウジアラビアに触発された世界的な減産にある」とドバイのある石油幹部がアラブニュースに語った。
OPECのモハメド・バルキンド事務局長は、この好転は「新型コロナ危機のなかで各国政府の最高レベルがエネルギー市場を安定させようと世界的な協力および支援を行った」結果であると述べた。
ブレント価格は3月中旬以来最高となり、WTIがマイナス圏に落ち込み、石油トレーダーから「ブラックマンデー」と呼ばれた日から僅か1か月での回復となった。ブラックマンデー後は、米国のシェールオイル生産量も特にテキサスの主要生産地における油井の閉鎖や倒産の打撃を受けていた。
石油市場の穏やかな高揚感は株式市場にも反映された。原油価格上昇とロックダウン緩和の兆しを受け、米株式市場でもS&P 500種株価指数は前日より3%以上上昇し、3,000に手が届く距離となった。
市場心理をさらに励ましたのが、新型コロナワクチンの実用化が予想よりも早まるかもしれないとの報道だ。
それにもかかわらず、より慎重な見方をする専門家もいる。 コンサルタント会社Qamarの最高経営責任者であるロビン・ミルズ氏は、「特に米国のエネルギーの見通しに関する時期尚早の高揚感」に対して警告を発した。
「価格が十分に回復したことから既存の坑井を再開することはできますが、新たな掘削は最小限になります。米国の『エネルギー支配』の夢は終わったのです」とミルズ氏はアラブニュースに語った。