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インタビュー:アブドラ・アル・スダイリーCEO、アムラクのIPOは長期的ファンダメンタルズの信任投票

28 Jun 2020
イラスト ルイス・グラニェーナ
イラスト ルイス・グラニェーナ
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Updated 28 Jun 2020
28 Jun 2020
  • 不動産金融のCEO、株式上場が抵当市場にもたらす利益について話す

フランク・ケーン

サウジアラビアの不動産金融会社アムラク・インターナショナルがタダウル(サウジ証券取引所)での株式公開(IPO)を進めているという発表は、市場に驚きを与えた。時価総額は約15億SR(4億ドル)となる見込みだ。

1つには、サウジの経済が世界各国同様、新型コロナウイルスのパンデミックに揺さぶられたということがある。そしてもう1つは、1930年以降最悪の世界的不況を目前に世界経済が動揺する中、世界の金融市場が先行き不明な状態にある。

アムラクのアブドラ・アル・スダイリーCEOは、ウイルスの発生以降初めてとなる王国のIPOで、これらの課題を克服するつもりだ。

「長期的ファンダメンタルズは変わっていないと考えます。もちろんサウジアラビアだけでなく世界全体が一時的な混乱に陥りましたが、これは解決すると信じています」と彼はArab Newsに伝えた。

アムラクは今年初め、パンデミックが発生する前に、市場戦略を検討していると広く噂されていた。その計画は一時的に中断されたが、それを実行するという決断は、事業、サウジ経済の長期的ファンダメンタルズ、そして王国の金融市場に対する信任投票だと捉えることができる。

これはまた、一部の経済学者が言うようにパンデミックからは迅速なV字回復が見込まれており、世界各地でロックダウンが解除され、日常生活が戻り、経済が再開されれば、一気に上向きになるという意味でもある。それが、多くの専門家が予想する「新たな常識」であったとしても。

経歴

出生地:サウジアラビア、ジャウフ

学歴:

  • サウード国王大学、会計学学士号
  • サンダーバード国際経営大学院、米国アリゾナ州

職歴:

  • Samba Financial Group、アシスタントゼネラルマネージャー
  • Saudi Ceramics、ディレクター
  • Dallah Healthcare、取締役
  • アムラク・インターナショナル、CEO

「サウジには若年層が多く、政府は「Vision 2030(改革計画)」の一環として、国内の就業率と住宅所有率向上を決意しています。私たちはこれが実現すると信じています。」

「私たちの事業には、過去数カ月に深刻な影響はありませんでした。外出禁止令により若干の混乱はありましたが、オリジネーションの数字は上半期でも許容範囲内でした」とアル・スダイリー氏は加えた。

このように見通しは明るいにもかかわらず、王国の大手金融機関NCB Capital傘下の投資銀行がまとめるIPOを実行するという決定は、慎重に行われたに違いない。

国際通貨基金は最近、サウジ経済は今年6.9%縮小するという予想を発表。そのため、政府は不景気対策、そして原油価格下落による財政の穴を埋めるという目的で、一連の措置を導入した。

一部のアナリストは、2014年から2年続いた原油価格の下落に対して王国が採用した「緊縮」体制に戻ると予想した。

付加価値税は15%に引き上げられ、政府が負担する生活費手当は廃止され、また原油依存から脱却するための経済の多様化は減速した。

このような政策はどれも、政府が約束した住宅所有率向上を促進させるような経済環境には見えない。だがアル・スダイリー氏は頑なに、長期的見通しは明るく、政府が講じた措置はアムラクの事業に大きな影響を及ぼさないと主張する。

「正直なところ、私は経済学者ではありませんが、弊社のリテール事業が提供している融資は、ほとんどが初めて住宅を購入する人向けで、その多くが85万SR以下です。政府はこのような物件に対する付加価値税をすべて免除しています。もしも初めて家を買う人がその基準以下であるなら、政府が付加価値税を肩代わりしてくれるのです」と彼はいう。

アムラクは住宅物件だけでなく、商業スペース、オフィスコンプレックスの建設、商業施設開発やその他のビジネスプロジェクトにも力を入れている。もう一度言うが、一部の専門家はコロナウイルスのパンデミックは、この業界に逆戻りできない影響を与えた。人々は在宅ワークに慣れ、ビジネスのほとんどを物理的なスペースではなく、デジタルで行うようになったからだ。

アル・スダイリー氏によると、アムラクの商業プロジェクトの多くは、付加価値税引き上げの対象とはならなかったという。だが、パンデミック後における勤務形態の変化により、商業部門は恒久的に変わったという点は、同氏も同感だ。

「商業物件の需要は変わるでしょう。欧米の商業用物件がどのような状況になったかを見れば、問題があることが分かります。しかし、物流用施設についてはどうなるでしょうか。」

「人々がオンラインで買い物をするようになり、以前ほど小売店舗は必要ではありません。しかし、商品を配送するための倉庫は必要です。今後、需要の変化があると思いますが、違う形で需要は残ります。オフィスの需要は弱まるかも知れませんが、病院や学校の需要は高く、また物流施設もオンライン需要の高まりとともに、強まるでしょう」と同氏は加えた。

アル・スダイリー氏は金融市場の変動制に対して、寛容な姿勢を示す。パンデミック発生時、世界中の市場とともに下落したタダウル指標は、その後大幅な回復を見せた。しかし、多くの金融専門家は、今年後半、世界の株式市場が下落すると見ている。

「私が注目しているのは、事業のファンダメンタルズです。株式市場が、今後起こることを示す主要な指標であることは知っています。将来の予想をまとめたものです。ですから、私は会社の長期的な強みとなるファンダメンタルズを気にした方が良いと考えるのです。」

「株式市場の動向はあまり気にしていませんが、一部のエリアで、過去最高水準に近付いているのは良いことです。市場は3週間前、最高点に達したと思います。しかし私たちのフォーカスはファンダメンタルズです。」とアル・スダイリー氏は語る。そして、IPOの2つの目的は、アムラクの認知度を高め、より良い資金調達方法にアクセスすることだと加えた。

「弊社は抵当事業を取り扱っており、社会に広く関わっています。IPOにより、認知度が高まるということは、重要なのです。」

「通常、すべての上場企業が資本コストを優遇するため、負債コストを削減します。弊社の損益計算書を見れば、最大の費用項目が負債コストであることが分かります。」

世界最大規模の株式公開となった、昨年のサウジアラムコのIPOが成功したことで、サウジの投資家の多くが株式市場を前向きに捉えるようになり、一気に大勢の個人投資家が株式保有という文化に流れた。

アムラク株式はまず、ブックビルディング・プロセスを通して機関投資家に公開される。しかしIPOには、需要が十分であれば個人投資家にも株式の10%が公開されるという仕組みがある。株式保有を通して、アムラクの投資家と抵当権者の利害を一致させるというのは、有益だろう。

「取締役会や経営陣に立ち向かう投資家がいるというのは健康的なことです。私たちは、より多様な投資家が増え、挑戦されることを願っています。なぜなら、アイデアを生み、モチベーションを上げるという意味で、変化は良いことだからです。洗練された多くの投資家が会社の一部を所有すれば、挑戦はさらに高度で健康的なものになることを私は知っています」とアル・スダイリー氏はいう。

しかし同氏は、上場企業というステータスを得たとしても、会社の行動に大きな変化はないと予想している。同社はすでにサウジ当局の厳密な規制に基づいて経営されており、それらが維持されるどころか、さらに強化されるからだ。

「その点では大きな変化はないと考えます。中央銀行が業界を細かく、厳しく統制しているからです」と同氏は加えた。

アル・スダイリー氏の焦点は、上場企業となった後も、アムラクの長期的な健全性だ。

「私たちは今後も常に会社の長期的な競争優位性とコア・コンピタンスです。短期的な戦術ではなく、長期的な視野を持ったプレイヤーなのです。」

「アムラクが非常に優れた競争力を長期的に維持し、持続可能な競争優位性を持つことを徹底する必要があります」と同氏は話した。

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