
コロナ(COVID-19)ショックから経済が回復の兆しを見せる中、日本銀行が7月15日に大規模な金融緩和策を一時停止する可能性がある。しかし感染第2波が到来し経済成長に打撃があった場合、景気刺激策を再開し市場の安心を取り戻すよう期待する向きもある。
市場が落ち着いて資本的支出が継続するなか、日銀は日本経済が今年後半に向けて緩やかな回復に向かっているという見解を固持しているようだ。しかし感染者や軽症者の数が再び増加に転じたことで、その見通しが不透明となっている。
「金融政策決定を行う上での次なる試練は秋頃になると思われます」と日銀の内情に詳しい情報筋は語った。次回の金融政策見直しは9月に予定されている。
「銀行は現在、積極的に貸し出しています。しかしコロナショックが続き経済の停滞が深まると、状況が変わるかもしれません」と別な情報筋も同じ見解を述べた。
2日間にわたる金融政策決定会合が15日に終了するが、日銀は短期金利をマイナス0.1%に誘導し、10年国債の利回りを0%程度に抑える金融緩和策を維持するとみられる。さらに企業の資金繰りを支援するための、民間社債の購入や資金貸付プログラムに大きな変更はないとみられている。
日銀政策委員会が経済成長率の見通しを下方修正する可能性はあるが、主要政策においては景気動向に対する慎重ながら楽観的な見方を維持するものとみられる。
イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を導入し、日銀は金利を目標値に誘導することを主たる政策としている。しかしコロナの感染拡大により大胆な金融緩和に注力した危機管理政策をとらざるを得ない状態が続き、金利目標の達成にどれほどの重点を置けるのか疑わしいのが現状だ。
日銀は景気を刺激するために必要であれば利下げも選択肢の1つとなると発表してはいるが、利下げにより民間金融機関の収益と貸出能力に悪影響が出かねないとアナリストたちは警告している。
以前の会議の議事録にあるとおり、インフレ率が目標の2%をはるかに下回っているため、理事会の一部には日銀の政策枠組みの見直しを求める声もある。
日銀の黒田晴彦総裁が会議後の記者会見の場で、感染第2波のリスクにどう対処するかについて何らかの見解を示す可能性があるとアナリストたちはいう。
ロイター通信