チュニス:チュニジアのカイス・サイード大統領は10日、多数の移民が地中海を渡ってきていることを懸念している欧州諸国の首脳らの訪問予定を前に、同国は他の国々のための国境警備隊となることに甘んじないと述べた。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は9日、オランダのマルク・ルッテ首相およびEUのウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長と共に11日にチュニジアを訪問する際に援助を申し出るつもりだと述べた。同国は公共財政の危機に直面している。
サイード大統領は、ボートでイタリアに渡ろうとする移民の主要な出発地点である港湾都市スファックスを訪問中、「チュニジアを犠牲にする解決策は認めない(…)我々は彼らの国々のための国境警備隊になるわけにはいかない」と述べた。
信用格付け会社フィッチは9日、チュニジアの債務を「ジャンク」級へと格下げし、同国が債務不履行に陥って国家財政が崩壊し困窮が広範囲に広がる可能性を強調した。
チュニジアの経済崩壊により、既に今年になって大きく急増している特に同国からの地中海経由の移民が加速することを欧州諸国は恐れている
しかし、国際通貨基金(IMF)の救済パッケージは何ヶ月も停滞している。融資を受けるために必要とされる経済改革をサイード大統領が拒否しているためだ。資金提供国は同大統領に対し方針転換を迫っており、イタリアはIMFに対し融資を決定するよう求めている。
サイード大統領が2月にサブサハラ地域の移民に対する取り締まりを発表した後、危険な地中海渡航が急増した。発表の際に大統領が使用した言葉は、アフリカ連合から人種差別的であると非難を受けた。
ロイター