ドバイ：アラブ首長国連邦（UAE）沖で7月5日、イランへの制裁措置を回避しているとして米国が捜索している原油タンカーがハイジャックされたと船員団体が水曜日に発表した。

火曜日の衛星写真でイラン海域にこのタンカーがいることが確認された。船員の2人はイランの首都に残ったままだ。

ドミニカ共和国の旗が掲げられたこのMTガルフスカイ号で何が起きたのかすぐには判明しなかったが、その後ハイジャックが報告された。このハイジャックはイランと米国の数か月にわたる緊張関係の後に生じた。

英国に本拠を置く慈善団体ヒューマンライツアットシーのCEOであるデビッド・ハモンド氏は、MTガルフスカイ号の船長から証言を取り、タンカーがハイジャックされたことを確認したと語った。

ハモンド氏によれば、乗船していた26人のインド人船員はインドに戻ったが、2人は詳細を語らずテヘランに残ったという。

「タンカーの乗員の身の安全が確認され、元気であると聞いて嬉しく思います。私たちの一番の関心はそのことでした」とハモンド氏はAP通信に語った。

ハモンド氏はこのタンカーについてほかに詳しい情報はないと述べた。

海上での原油取引を追跡するウェブサイトTankerTrackers.comは、火曜日にホルムズ島沖のイラン海域で撮影された衛星写真でこのタンカーを確認したと伝えた。

バンダレ・アッバースの港湾都市近くにあるホルムズ島は、アラブ首長国連邦（UAE）の東海岸に位置する都市ホール・ファカンの北約190キロ（120マイル）にある。ホール・ファカンにはこのタンカーが4カ月間停留していた。

アラブ首長国連邦政府、アブダビの米国大使館、およびバーレーンに拠点を置く米海軍の第5艦隊は、このハイジャックについてのコメント要請に応じなかった。イランの国営メディアはこのタンカーについて速報はせず、イランの国連大使はコメントの要請に直ちに応じなかった。

米国司法省は5月、2人のイラン人を刑事告訴した。告訴の理由は、2人がMTノーティカ（当時の名前）という、今回ハイジャックされたタンカーをフロント企業から購入する目的で約1200万ドルを資金洗浄しようとしたためだ。

その後、同タンカーはハールク島からイランの石油を積み受け、海外に販売したと米国政府は伝えた。

裁判所の文書によると、この計画にはイラン国営の石油およびタンカーの関連企業だけでなく、コッズ部隊というイスラム革命防衛隊の下部組織で、国外での作戦を専門とするエリート集団も関与していた疑いがある。起訴された2人の男性のうちの1人はイラクのパスポートも所持しており、現在も逃走中だ。

「米国の銀行はこのタンカーの販売に関する資金を凍結したので、売り主が支払いを受け取ることは決してありません」と司法省は述べた。 「その結果、売り主はUAEでタンカーを取り戻すための民事訴訟を起こしました」

その民事訴訟はまだ係争中であると考えられており、タンカーが当局に押収された後、どのようにしてアラブ首長国連邦から出航したのかという疑問が出ている。

船舶を追跡するウェブサイトMarineTraffic.comによると、MTガルフスカイの自動船舶識別装置（AIS）は、7月5日の午前4時30分ごろにスイッチを切られていたことがわかったという。船舶はAISを作動させることが決まりになっているが、イランの船舶は日常的にスイッチを切って動きを隠している。

一方、国際労働機関（ILO）によると、タンカーに乗船していた28人のインド人船員は身動きが取れず数か月間船内に留まり、その間給料も支払われなかったという。ILOは、タンカーの持ち主が3月にホーファクカン沖でこのタンカーと船員を放棄したという報告を提出した。ILOはコメント要請に応じなかった。

昨年イランと米国の間で緊張が高まり、中東の海域を航行するタンカーが攻撃の標的となった。特に、アラビア湾の狭い入り口であるホルムズ海峡付近は原油タンカーの20％が通過するため、危険な場所となっている。複数のタンカーが吸着機雷による攻撃を受けた疑いがあり、米国はこれをイランによるものとして非難している。イランは複数のタンカーを押収したが、攻撃の関与は否定した。

AP