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原油が「台風の目」にある中、アラムコは多くの関係者の質問攻めに直面

アナリストによると、サウジアラムコのボトムラインは原油価格ショックに見舞われたが、それでもエネルギー業界の巨人は、ライバル企業と比較して大きな財務的強みを持っている。(Shutterstock)
アナリストによると、サウジアラムコのボトムラインは原油価格ショックに見舞われたが、それでもエネルギー業界の巨人は、ライバル企業と比較して大きな財務的強みを持っている。(Shutterstock)
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09 Aug 2020 08:08:55 GMT9
09 Aug 2020 08:08:55 GMT9
  • 市場の不確実性の高まりに直面する中、四半期の結果について説明し、将来の戦略の概要を説明するCEOのアミン・ナセル氏

フランク・ケイン

ドバイ:世界最大の石油会社であるサウジアラムコは、ここ数十年間で最大のエネルギー市場へのショックを受けて、世界の投資家による2日間の厳しい精査にさらされる。

同社は、近く2020年第2四半期の決算を発表する予定である。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受けて世界的な需要が落ち込み、4月に原油価格は急落した。そうした中、アミン・ナセルCEOや他の幹部が、今後の原油需要の不確実性が高まる中、同社の戦略について、公開で質問を受け付ける。

日曜日に、ナセル氏は同社株式が上場されているリヤドのタダウル取引所に財務情報を投稿した後、国際メディアからの質問に答える—昨年12月に記録的な規模の新規株式公開(IPO)で上場企業となったアラムコが、こうして金融ジャーナリスト向けの記者会見を開くのは初めてである。

月曜日には、彼は将来の配当政策、資本支出計画、アラムコが比較的低い原油価格が続くと見込まれる「ニューノーマル」の中、今後どのように成長を図るのかなどの重要な問題に関する世界の投資専門家からの質問に答える。

石油産業の基本的な仮定の多くを転換させた2020年の前半経過後の両者による会合は、波乱に富んだものになることは間違い無いとされる。ある業界専門家は、この期間は石油業界にとって「台風の目」だったと語る。

原油価格が年初よりも1バレルあたり約20ドルも安いため、一部のヨーロッパのエネルギー大手は、環境に配慮した新しい時代のチャンピオンとなるべく自らを再定義し直し、原油探査への投資を削減すると共に、石油資産の価値を償却している。

米国では、シェール革命は、多くの企業が1バレル40ドルという新しい金融体制の下でもがき苦しみ、停滞を余儀なくされている。借金と多額の資金調達コストに圧迫され、倒産した企業もある。

アラムコも同じ財政的圧力の影響を受けている。米国の巨大投資銀行であるJPモルガン(JPM)は、アラムコの営業利益は今年64%減少し、株主利益も同様に減少すると予測している。

別の米国の大手金融機関であるバンクオブアメリカ(BoA)も、主要な金融指標の多くが大幅に低下すると計算している。

しかし、両行は、正式な業績発表前の調査記事の中で、アラムコには、米国およびヨーロッパの独立系石油会社の同業他社グループにはない長所があることも指摘している。

BoAは次のように述べている、「結果は当然のことながら弱いが、原油価格の下落により業界の指標が急速に悪化する中、低原油価格環境の中でも、同社の低生産コスト、保有する長期原油在庫、フリーキャッシュフローを生む出す力などが改めてアラムコの持つ長所として注目されると見ている」

JPMのアナリスト、クリスティアン・マレク氏は、アラムコ株に対する「オーバーウェイト」評価を維持し、投資家に株を購入するように勧めている。彼が特に取り上げているのは、アラムコのエネルギーおよび石油化学製品ポートフォリオの強み、その財務的強さ、そしてあまたのライバル会社から市場シェアを奪うために、同社の低コスト生産能力が役に立つことを挙げている。

マレク氏によると、ジャーナリストやアナリストとの会合の「主要な戦略的焦点」は、アラムコが今年の年間配当金750億ドルへのコミットメントを「再度公約するか」どうか、石油需要の世界的な回復の強さに関するナセル氏の洞察 、および今年予定されていた約250〜300億ドルの設備投資計画の最新動向である。

BoAはまた、急速に変化するグローバル市場におけるアラムコの強みを取り上げ、「アラムコは、その生産の膨大な規模と世界において最低の生産コスト構造の両方によって、石油ガス業界の同業他社を凌駕する。また、アラムコの財務状況は、グーグル、アップル、アマゾンなど株式市場で高く評価されている企業を上回っている」と述べている。

2020年の第2四半期は同社にとって、「台風の目」だったと更にBoAは指摘する。「第2四半期はアラムコにとって厳しいものだったに違いない。収益は前年比で60%減少したと予想している。減少の要因は主に原油価格の崩壊によって引き起こされ、4月と5月の公式販売価格の低下も響いている」と付け加えた。

マレク氏は同意し、「第2四半期は、厳しいマクロ経済状況に直面した四半期で、一時的なものであり、原油生産量が1日あたり930万バレルに低下し、実現割引が拡大し、ギアリングが上昇した」と述べている。

どちらの投資会社も、今年初めにSABICを690億ドル買収したことも、アラムコの財務状況に影響を与えると予想している。

しかし、彼らはまた、先週タダウルで32.95サウジアラビア・リヤル(SR)で取引されたアラムコ株を保有することで、より多くの価値が得られる可能性を評価している。BoAはSR34の目標価格を設定し、JPMは同社株価がSR36に達する可能性があると述べている。

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