東京電力は2日、福島第1原発事故で溶け落ちた2号機の核燃料(デブリ)の試験的取り出し作業で、少量のデブリをつかんだ回収装置を原子炉格納容器の外に出したと発表した。2011年の原発事故後、デブリが格納容器外に取り出されたのは初めて。週明けにも放射線量を測定し、問題なければ専用容器に移して作業完了となる見通し。
東電によると、先月30日に釣りざお状の回収装置の先端部に取り付けた爪のような器具でデブリを採取。この日は、約1時間かけて回収装置を格納容器内から引き出し、午前10時ごろまでに装置ごと密閉された収納箱に入れたという。採取したデブリは5ミリ程度で、数グラムあるとみられる。
週明け以降に線量を測定し、デブリを運搬用の専用容器に移し替える予定。ただ、線量が想定を超えた場合は、格納容器内に戻す可能性もあるとしている。
回収したデブリは茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の施設に運んで詳しく分析。同原発1~3号機内に計約880トンあると推定されるデブリの本格的な取り出しに向けた研究などに役立てる。
試験的取り出し作業は当初、21年に実施する計画だったが、海外での装置開発や準備作業などで約3年遅れた。今年8月の作業開始直前には接続するパイプの順番に誤りが判明。9月に着手した後もカメラの不具合で中断するなどした。
JIJI Press