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テヘランの暫定政府はイラクの有権者によって処罰されるべきである

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11 Feb 2020 02:02:43 GMT9
11 Feb 2020 02:02:43 GMT9

近代の記憶の中でも最もひどい政治的裏切りの一つであるが、ムクタダ・アル・サドルはイラクの蜂起を心から支持して、デモ隊の殺害と抗議キャンプを暴力的に解散させるために、彼の部隊を派遣することを決定した。アル・サドル曰く、数ヶ月人々の声に耳を傾けた結果、今週末勇敢にも簡潔に以下のように述べた。「抗議する者は政治的な問題に干渉するべきではない」

ショッキングなことに、アル・サドルの支持者による抗議者の殺害は、ほとんどナジャフとカルバラの聖なる都市で起きた。これらの都市はテヘランがその影響力を高めるために力を入れているシーア派世界の中心だ。もっとも数百万の熱狂的な市民はまだ腐敗した宗派統治とイランの干渉の終結を求め続けているが。

抗議者達は今やアル・サドル自身に怒りを向けており、彼が政府からの利益のために抗議運動への支援をやめ、親テヘラン派の派閥と連携していると非難している。抗議者達が「政治的クーデター」と非難する状況にあって、テヘランの代理人とアル・サドルは抗議運動を沈静化するための余力を残しつつ、現状維持を図るために実態のないものを首相にしようと共謀した。

1970年代を通して、イラクは潤沢な石油資源によって周辺で最も進んだ国になった。それに続く大惨事を経て、今日のイラクは精鋭のエリートが支配し、市民は貧困、失業、機能障害の公共サービスにあえいでいる。レバノンのそれと同じように、イラクの国中で起こっている抗議活動は特定の首相や政府の政策に対するものではなく、政治システム全体に対するものである。

アル・サドルによる利己的な、180度のイデオロギーの方向転換はこれが初めてではない。彼はイラクのもっとも最先端の軍事的将軍の一人になったり、イラクの市民兵を「イスラムを虐殺、暗殺、…歪曲する」として見捨てたり、繰り返し揺れ動いてきた。反宗教の愛国主義者だと自認しておきながら、2005年から2008年までの間にサドリストの凶悪犯は数万人のスンニ派の人々を誘拐、あるいは殺害してきた。2014以降、アル・サドルの「平和旅団」市民兵はイランが支配するアル・ハッシ・アル・シャービの軍に片足入り込んでいる。

2015年ごろ、アル・サドルは改革の旗のもと、政治的に復権しようとしたが、2005年ごろからサドリストの支配が続く政治部門は腐敗と犯罪性で悪名が高かった。サドリストの厚生省は「殺人省」と言われている。歩兵がスンニ派と反体制派で溢れる病棟を闊歩した。救急車は死の部隊の専用車となった。

アル・サドルは注目を集めるための政治的パフォーマンス(2016年にグリーン・ゾーンに進行したことなど)をやめて、政治的分野から完全に撤退しようとしている。アル・サドルは双極性の鬱なのではないかという憶測が飛び交うのも不思議ではない。

アル・サドルが利己的な、180度のイデオロギーの転換を行なったのはこれが初めてではない。

バリア・アラムディン

2004年ごろ、アル・サドルはイラクを攻撃するためのイランからの資金を歓迎していた。2007年から2011年にかけては(イランの)ゴム州に拠点を置いていたほどだ。しかしバグダッドに戻ってからは、反イランの立場をとるようになった。昨年アル・サドルはテヘランを訪れた際には、カッセム・ソレイマニとアリ・ハメネイは、彼をイランの陣営に戻そうとした。最近、アル・サドルと彼の部下であるカイス・アル・カザリが慎重にイランを訪問したという報告もある。

イランは予測不能なアル・サドルをコントロールするために様々な方法をとってきた。買収から暗殺の脅迫、彼の憧れであるハッサン・ナスラッラーとの対面会談などである。もしアル・サドルが実際にテヘランの要請によって動いているとしたら、彼の現在の動機はなんであるかは不明だ。

テヘランの代理人が急いで政府を作ろうとしている理由の一つは、新しい選挙への懸念だ。親イラン派は2018年の選挙では辛くも選挙を勝ち取ったが、その後も元気なソレイマニ首相の絵などを使った活発なロビー活動によって新政権では過半数の議席を維持することができた。

シーア派の市民に対して数ヶ月戦争を仕掛けてきて、ハディ・アル・アミリ、アル・カザリ、アル・サドルに対して果たしてどこから票がくるだろうか。新イラン派は10%でも票が得られればいい方だろう。アル・サドルについては彼が当初掲げていた原則をくつがえしているのでさらに部が悪いかもしれない。もしスンニ派、クルド人、中道派が広く非宗派連合として連帯した場合、親イラン派は完全に締め出すことも可能だ。実際、憲法によれば、準軍組織に所属する人間は政治に関わることは全く許されていない。

主要な聖職者のアヤトラ・アリ・アル・シスタニ首相はすでに新しい自由で公正な選挙を求めており、抗議者たちは彼に新しいモハメッド・アラウィ首相を断固として拒否するよう促した。新たに選挙が行われる場合、民兵軍と外国籍軍は選挙のプロセスからは除外される。内務省のようなアル・ハッシュドが支配する部門も距離を置かれる。 

イランの代理人は抗議運動を沈静化させる外国大使館による操作を主張することにより、抗議運動を信用しないように努めてきました。残念ながら、舞台裏の状況を操作するどころではなく、西側の外交官は自分のポストで眠っている。国際社会は、市民に対する攻撃や、改革と腐敗の根絶への圧力をかけるものではないのか。

イラクは、テヘランの地域的拡張主義キャンペーンの中心だ。アメリカや他国はイランの最近の後退を利用すべきだ。イラクでテヘランを叩いておけば、シリアとレバノンでの影響力を高めることができる。

親イラン派の「政治的クーデター」は一つだけ達成したことがある。数百万人の抗議者が今後数カ月で出てきたとして、そこに腐敗と政治の機能不全を非難するスローガンはなく、アル・ハサドとアル・サドルが十字架に括られているだろう。

彼らは現在、比較的最近まで彼らを人気のヒーロー、ダーシュの惨劇からの救世主として賞賛していた層からも嫌われている。

アル・サドルとイランの部下は、イラク革命を乗っ取るのではなく、革命が決定的にに起こっった時に彼ら自身が嵐の目に立っていることを保障したに過ぎない。

  • バリア・アラムディンは受賞歴のある中東・英国のジャーナリスト兼報道官である。彼女はMedia Services Syndicate の編集者でもあり、これまで様々な国のトップの話を聞いてきた。

お断り:このセクションでライターによって表現された視座については、ライター独自のものであり、アラブニュースの視点と必ずしも一致するわけではない。

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