
ANAホールディングスが資金調達に向け、日本政策投資銀行と3メガバンクなどに5000億円規模の支援を要請したことが13日、分かった。新型コロナウイルス流行の影響で業績不振が続く中、資本に近い性格を持つ「劣後ローン」を使い、財務基盤を強化する。
劣後ローンは、通常の融資よりも返済の優先順位が低く、借入金でありながら資本金に準じた扱いを受けられる。
ANAは政投銀や、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などと協議に入った。調達額は4000億~5000億円程度で調整している。
ANAの2020年4~6月期連結決算は、旅客需要が激減した影響で四半期として過去最大となる1088億円の純損失を計上した。同社は国内線の需要が戻るのは21年度末、国際線は23年度末と想定し、コロナ影響の長期化は避けられないとみている。
同社はこれまでに融資枠を含め約1兆円の資金を確保しており、当面の資金繰りに問題はないという。ただ、今後も借り入れだけに頼れば財務体質が悪化し、必要な際に新たな資金を調達できない恐れも出てくる。劣後ローンで資金調達できれば、借り入れ余力が増すメリットがある。
政府は20年度第2次補正予算で、政府系金融機関による劣後ローン供給など企業の資金繰り支援策を拡充した。コロナ収束が見通せない中、他企業でも劣後ローンを活用する動きが出そうだ。
JIJI Press