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日中経済関係:新しい指導者のもと、新時代を迎える時が来た

イギリスがブレグジット(イギリスのEU離脱)によりヨーロッパから切り離され、経済的現実からも切り離される危険にさらされているように、日本もまた、中国の主導力が増すアジアと、相対的な力の低下に適応していないアメリカとの間で取り残される危険に直面している。 (Shutterstock)
イギリスがブレグジット(イギリスのEU離脱)によりヨーロッパから切り離され、経済的現実からも切り離される危険にさらされているように、日本もまた、中国の主導力が増すアジアと、相対的な力の低下に適応していないアメリカとの間で取り残される危険に直面している。 (Shutterstock)
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24 Sep 2020 08:09:49 GMT9
24 Sep 2020 08:09:49 GMT9

アンソニー・ローリー

東京:安倍晋三前首相が8年の任期を終えて首相を退任したことにより、日本では長い間続いてきた政治の安定が終わりを迎える可能性が出てきた。菅義偉元官房長官が安倍前首相の後任として首相に就任した。

他国と同様、日本も未だコロナ禍との闘いが続く中での新たな政権の誕生は、不安をもたらすことになる。しかし、菅首相が中国や韓国との関係を強化し、米国との関係に少し距離を取る場合、指導者の交代は有益なものになるかもしれない。

これは特に東アジア地域の3大国間の経済関係に当てはまる。なぜなら安倍元首相がアメリカのトランプ大統領の政策に固執したがゆえ、地域協力に対する態度がより二極化し、より硬化したためだ。

変化がどれだけ早く訪れるかはまだ不明だが、変化は避けられないように見える。日本の新指導者の下での関係再編が何を意味するのかを理解するためには、強力な日中韓同盟がこれまで実現していない経済的可能性が何であるかを考える必要がある。

イギリスがヨーロッパの「中に」はいるものの、ヨーロッパの「一部」ではないと言われるように、日本はアジアの「中に」いるが、アジアの「一部」ではないと言われることがたまにある。イギリスも日本も、自国の周辺諸国とアメリカの両方と関係を持っており、どちらもアメリカとの間に「特別な関係」があり、周辺諸国から独立して行動することができると信じている。

イギリスがブレグジット(イギリスのEU離脱)によりヨーロッパから切り離され、経済的な現実からも切り離されるという危険にさらされているように、日本もまた同様に中国の主導力が増すアジアと、相対的な力の低下に適応していないアメリカとの間で取り残される危険に直面している。

11月のアメリカ大統領選挙が近づくにつれ、自身の大統領在任期間が非常に不確実な状態にあるトランプ大統領による衝動的な行為は、アメリカとアジアの信頼関係を傷つけただけでなく、それらの行為により中国の利益が増大し、日本に 「鞍替え」を強要する可能性のあるアジア地域内における経済関係の変化をもたらした。

トランプ大統領による「瀬戸際政策」の最初の犠牲となったのは、トランプ大統領の2016年の就任初日に、前任者であるバラク・オバマ前大統領による「アジア基軸戦略」の一部であり、アジア地域とアメリカとの経済関係にとって約束された礎であった環太平洋経済連携協定(TPP)からアメリカを離脱させたことだった。

日本の安倍前首相は、アメリカの参加なしで11カ国のTPP加盟国を救うため全力を尽くした。今では行き場所を失ったイギリスでさえTPPへの参加の意向を示している。しかし、世界最大の経済大国であるアメリカの参加なしには、TPPよりも、中国を最大の加盟国とする東アジア地域包括的経済連携 (RCEP)の方が、より今後の展望が明るいように見える。そして、アジア地域と他地域とを結びつける役割を担う広大なインフラ事業により、アジア地域とアジア地域を超えて躍進している中国の一帯一路構想(BRI)がある。

BRIは潤沢な資金があるというわけではないものの、中国の資本市場の急速な発展により、赤字を一部補填することができる。

さらに、中国主導によりアジアインフラ投資銀行(AIIB)もあり、AIIBは現在では100カ国強が加盟しており、地域経済への影響力では世界銀行やアジア開発銀行(ADB)に匹敵する存在になりつつある。

これらは一部の例に過ぎないが、もしアメリカに倣いこのような組織の加盟国になることを避けたり、TPPやRCEPのように2つの違う組織を同時に両方支持したりした場合、日本がいかに「間違った側」にいるかを示す証拠となるだろう。

一方、中国経済はコロナ禍に直面する中、日本、韓国、アメリカ以上に目覚ましい回復力を示している。そのため、これらの3つの輸出依存国の大量消費市場として、中国の魅力は高まっている。日本にとって特にそうである。

中国の経済的存在感がより鮮明になり、アメリカの経済的存在感が薄れつつある中で、日中の経済的な結びつきが強化されているという論理は説得力を増している。

しかし、政治的、文化的な結びつきは、アメリカの相対的な魅力に影響され、より困難を増している。

明らかに後者の運命は、ドナルド・トランプという人物の予測不可能な「味方」が11月以降も大統領として残るかどうかに一部依拠している。

しかし、誰が次のアメリカ大統領となるかにかかわらず、日中関係の本質は変わる運命にある。

技術革新から金融システム開発の全てに至るまで、そしてその間にある数多くの分野において、中国はアメリカに追いつき、アメリカを追い越してさえいるため、日本は超大国アメリカの主要なパートナーではなく、アジアの中でアジア諸国と同等のパートナーシップに参加する必要がある。

そのためには、新しい日本の指導者が中国や韓国に関するある種の偏見を捨て、「大きく考える 」ことを学ぶ必要があるだろう。

それには、優れた経済、政治外交が必要とされる。

もし安倍前首相の退任と米国のアメリカ大統領交代が同時に起こった場合、これにより東アジア地域における新たな秩序の到来が早まることになるだろう。この新たな秩序の中で、日本、中国、韓国は少なくとも対等のパートナーシップの約束を熟考することができる。

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