
東京:日本のANAホールディングスは、コストを抑え、新型コロナウイルス対策の渡航制限によって引き起こされた、航空業の崩壊を生き延びるため、ボーイング機を中心に航空機の10分の1以上を退役させ、航空機2機の発注を延期すると発表した。
日本最大の航空会社であるANAは、3月31日までの1年間の営業損失は、過去最大となる5050億円(48億2000万ドル)になると予測しており、従業員400人以上を他の会社に出向させ、残る社員には減給や無給休暇を受け入れるよう頼むと発表した。
ANAは、他の航空会社と同じように、乗客数が少なすぎるにもかかわらずジェット機の運航を維持するために現金を浪費している。
国内線の需要は、政府が助成する旅行によって昨年の約半分まで回復したが、国際線に関しては通常のスケジュールのほんの一部しか運航していない。
日本は当初、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために入国をほぼ全て停止していたが、最近、2週間の隔離に同意することを条件に、ビジネス旅行者や外国人居住者の入国を許可し始めた。ほとんどの海外旅行者は今もなお禁止されている。
その結果、ANAは航空機35機を退役させる予定で、そのうち28機は早期退役だと発表した。22機はボーイング777ワイドボディ機で、777型機1機とエアバスA380スーパージャンボ1機の納入を延期した。そうすることにより、同社の保有機数は最終的に33機減って276機となる予定だ。
同社はまた、低迷を乗り切るための十分な現金を確保するため、政府系金融機関と民間金融機関から劣後ローンで38億ドルを調達したことを27日に発表した。
同社がコスト削減によってパンデミックに対応する前には、シンガポール航空、キャセイ・パシフィック航空、カンタス航空などの他のアジアの大手航空会社が人員削減や航空機の早期退役を行っていた。これらの航空会社は全て、渡航を制限する国境規制に苦しんでいる。
ANAは、通常は収入の半分強を占める国内旅行の減少は2年ほど続き、国際線は2024年まで回復しそうにないと予測している。
しかし、回復したときの国際的な需要に関しては、収益性のより高いビジネス旅行者の需要よりも観光客の需要が中心になる、と同社は予測している。
国際的な需要は「仕事内容の変化により、以前のレベルには完全には戻らない可能性が高い」と同社の事業計画には書かれている。
その長期的な市場の変化に適応するため、ANAは2022年に低価格の航空会社ブランドを立ち上げ、座席数300席以上のボーイング787ドリームライナーを使って東南アジアやオセアニアとの間を定期的に往復する予定だと発表した。
国内では、税金で賄われる国内観光キャンペーンに加えて、ANAと日本航空(JAL)は、東アジアの端に沿って伸びる3000キロの日本列島を結ぶためには航空路が不可欠と考える政府による着陸料減額の恩恵も受けている。
しかし、政府はこれまでのところ、大規模な救済策を提供するのではなく、資金確保とコスト削減を目指した航空会社自身の努力と公助による断片的アプローチを好んでいる。
ANAはまた、9月30日までの6カ月間で2809億5000万円の営業損失、1884億9000万円の純損失を出したと発表した。それでも、片野坂真哉CEOは、同社には航空業界の危機を乗り切るのに十分な資金と事業計画があると述べた。
片野氏は、同社が新株発行による追加資金調達を計画している、という先の報道を否定した。
ライバルのJALは、23日に最新の収支を発表したが、通期では最大となる約2300億円の純損失を計上する可能性が高い、と日経新聞は27日に報じた。
ロイター