
ファイサル・フェイク
COVID-19感染者数の世界的な急増によって市場では楽観的な見方が後退しているにもかかわらず、石油価格は2週連続で週間の値上がりを記録した。
指標となる2つの価格はどちらも1バレル40ドルの壁を突破した。ブレントは1バレル42.78ドル、WTIは40.13ドルに上昇して週を終えた。
週前半、効果的なCOVID-19ワクチンに対する期待が主な支援材料となり、ブレントは1バレル45ドルに迫った。
しかし、国際エネルギー機関(IEA)はその最新の石油市場レポートで、2020年第4四半期の需要見通しを120万バレル/日(bpd)引き下げた。
IEAは、ワクチンが世界の石油市場の救いとなる可能性は、しばらくの間は低いと予測する。
その結果、IEAは今後数ヶ月の原油消費の見通しを引き下げ、2020年の石油需要の予測をさらに400,000bpd減らして880万bpdに下方修正した。
IEAの見解は、米国やその他の地域で新型コロナウィルスの感染者が急増していることを受けたものである。旅行制限の厳格化により、世界の石油需要の回復は予想よりも遅れる可能性が高い。
短期的なCOVID-19の見通しは、感染者数の増加と、需要を落ち込ませることになる新たな行動制限により、引き続き暗いままだ。世界は切実に求められているワクチンの開発を待っているが、数ヶ月の間に幅広く利用可能になることはなさそうだ。
それら全ての状況に加え、リビアからの石油供給量が増えており、そのような中でOPEC+生産国が減産の緩和を予定する2021年1月が近づいている。ウィルスの再活性化により不透明感がさらに増しているため、市場が過剰な供給を吸収しないかぎり、戦略が見直される可能性がある。
IEAの報告によれば、9月のOECD石油在庫は1,970万バレル減と2ヶ月連続で減少して2億2,500万バレルとなったが、まだ5年平均値を上回る歴史的な高い水準にある。
そのような需要減少と供給増加の中で市場のバランスを再び取り戻すことは、簡単な仕事ではない。
北京のデータによれば、中国の需要は2019年の水準近くまで回復しており、引き続き明るい材料となっている。
この世界第2位の石油消費国で最大の輸入国の回復が続くことが、今後数ヶ月の鍵となるだろう。