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世界のエネルギー専門家たちのOPEC+協定への意見

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07 Dec 2020 12:12:57 GMT9
07 Dec 2020 12:12:57 GMT9
  • 1週間にわたる熾烈な交渉の結果、OPEC+加盟の全23カ国は来月から市場に50万バレルを復活する段階的協定に合意した。
  • 不確実な週が続いた後、石油市場はこの新協定に好反応し、ブレント原油先物は3月以来の最高値である1バレルあたり50ドルに接近した。

フランク・ケイン(Frank Kane)

ドバイ:先週のOPEC+会合は、石油生産加盟国内部の分断を修復し世界原油市場回復の舞台となった4月の出来事以来、最も重要なものであった。

今春の合意の条項下で、OPEC+は翌月から世界原油市場に追加で日産200万バレルを復活する予定であった。

しかし、石油需要がパンデミックの影響を感じる中、そのような供給急騰がまだ脆弱な世界経済に与える影響に関し、加盟国内で論争があった

OPEC+の最大輸出国であるサウジアラビアは、特に現在利用可能になりつつあるワクチンを踏まえ、今年前半の世界経済の成り行きを様子見したかった。

サウジとの関係がOPEC+に安定した影響力を持つロシアも世界経済状態に慎重であったが、同国の民間石油会社は増加した石油供給から貴重な収益を稼ぐことに抜け目がなかった。

アラブ首長国連邦は、伝統的にOPEC諸問題でのサウジアラビアの熱烈な同盟国であるが、同国のエネルギー戦略が次第に頭角を表す中で、これ以上長く需要増を先延ばしにする計画には熱狂していないことを知らしめた。

1週間にわたる熾烈な交渉の結果、OPEC+加盟の全23カ国は来月から市場に50万バレルを復活する段階的協定に合意した。同様な増産は月ベースで、世界石油市場の細部を監視する、サウジ・エネルギー相アブドゥラジズ・ビン・サルマーン王子が議長のOPEC+閣僚委員会定期会合を条件として、従うものである。

不確実な週が続いた後、石油市場はこの新協定に好反応し、ブレント原油先物は3月以来の最高値である1バレルあたり50ドルに接近した。

Arab Newsは、OPEC+の討議結果について考えること、2021年の世界石油市場に与える影響について、石油業界トップクラスの専門家6名に意見を尋ねた。

バッサム・ファトゥーフ(Bassam Fattouh)- オックスフォードエネルギー研究所(Oxford Institute for Energy Studies)ディレクター:
「きわめて不確実な環境で、OPEC+が柔軟性を維持していることは重要です。OPEC+合意は2022年4月まで延長し、市場に十分明確さを与えつつ、市場条件が影響すれば調整できます。」

ダニエル・ヤーギン(Daniel Yergin)- ピューリッツァー賞受賞、石油産業歴史研究者:
「石油価格は、ウイルスの楽観論と悲観論の間で価格が引っ張りあいになる『ウイルスの路地』で行き詰まりを見せていました。今やワクチンが目前に迫り、ウイルスの路地の出口を示しており、強気になった価格に反映されています。同時に、強力な第2波でのウイルス復活により、閉鎖や弱い需要につながります。そのため、石油輸出国は短期的課題と中期的機会に直面しました。各国で収支が異なるのは避けられませんでした。最終的には妥協が必要でした。どの国も昨春に戻る危険を冒したくはなく、その余裕もありませんでした。この結果は合理的な妥協案で、ウイルスの路地の出口を探し始めさせるため、輸出国は段階的に市場を試せます。」

ロビン・ミルス(Robin Mills) – カマルエネルギー(Qamar Energy)CEO:
「控えめな月産増をする計画は当然です。市場を圧倒せず、徐々に市場シェアを回復し、ワクチンの進捗と他の経済要因によって調整可能です。サウジアラビア、ロシア、アラブ首長国連邦にとって分別ある妥協で、何カ月もサウジの立場であることを提案していました。」

エレン・ワルド(Ellen Wald) – 「Saudi Inc」著者、トランスヴァーサル・コンサルティング(Transversal Consulting)社長:
「今週のOPEC/OPEC+会合の結果は、市場が期待したものではありませんでした。月当たりの日産50万バレルの増産は全体生産のごく一部で、このニュースで石油価格は大きく動きませんでした。OPEC+が6カ月政策の設定に失敗し、月例の閣僚級会合スケジュールに移したことは、OPEC+が調整する状況変化に対応する役割を完全に受け入れることを示しています。サウジ石油相のアブドゥラジズ・ビン・サルマーン王子は、積極的に6または12カ月の政策を積極的に設定せず、市場状況に合うよう生産を『微調整する』と言っています。」

クリスチャン・マレック(Christyan Malek)- JPモルガン・チェース(JP Morgan Chase)マネージング・ディレクター:
「OPEC+は圧倒的勝利者となり、その全体戦略はシェールシェールオイルの圧殺の上に成り立っていると考えます。我々の観点では、短期的な需要管理では、OPECは更に積極的な役割を担うでしょう。主要な焦点は、世界の在庫量縮小を助けることでしょうが、OPEC+は段階的シェールオイルの成長と非OPECと非USでの長期サイクルの設備投資を妨げようと努めていると予想します。」

クリストフ・ルール(Christof Ruehl) – コロンビア大学世界エネルギー政策センター(Center on Global Energy Policy at Columbia University)上級研究員:
「規律強制や割当量の論争は新しくも新たに重要なことではありません。低価格の生産国間の生産能力の拡大、価格戦争の脅威、OPEC+である世界余剰設備の統制に対する全体努力など、これらは、将来の更に大きなものの前兆でしょう。OPEC+は、低価格の生産国間が生産カットではもはや収益増できず価格と量で競争しなければならない時を発表しています。パンデミックは、石油ピークが真にOPEC+に意味することをスニーク・プレビューする機会を与えています。」

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