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ドバイのCEOバドル・ジャファル氏がダボスで変化を起こす(インタビュー)

03 Feb 2020
クレセント石油社社長兼クレセント・エンタープライズCEOのバドル・ジャファル氏(Illustration by Luis Grañena)
クレセント石油社社長兼クレセント・エンタープライズCEOのバドル・ジャファル氏(Illustration by Luis Grañena)
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Updated 03 Feb 2020
03 Feb 2020
  • クレセント社トップが、慈善活動がいかに気候変動などの大きな課題さえ解決へ導けるかを説明する

フランク・ケーン

ダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会では、いつも大きなアイデアについて考えさせられるが、バドル・ジャファル氏ほどそれについて議論するのに適した者はいない。

ジャファル氏は、シャールジャ拠点の産業・金融コングロマリット「クレセント・エンタープライズ」の最高経営責任者、また、関連するエネルギーグループ「クレセント石油」の社長と港湾管理会社「ガルフテイナー」の取締役会長でもある。

しかし、彼は損得のことばかりを考えているような重役ではない。ジャファル氏と会話すると、今日の重要な問題の多くに関する比類ない洞察に触れることができたと感じられる。

10日前にダボスのコングレスホールのセントラルラウンジで共に座っていた時に彼の頭にあったのは、気候変動のことだった。急速に変化する気象パターンの広範囲にわたる影響は、会議の主要テーマだった。参加者の中には、人間が生み出す環境破壊を縮小させなければ、気候による世界の終焉が訪れると予測する者もいた。

ジャファル氏はそれほど悲観をしていなかった。「私たちが一体になれば、人類の発展を抑制することなく持続可能な未来に向けて方向転換するに足るものを持っていると確信しています。しかし、私たちはまず短期的な政治を超越し、口先だけでなく実際に成果を出すための促進的な政策を迅速に取り入れなければいけません」と彼は言った。

気候に関するパリ協定における2030年までに世界の気温を2%低下させようという目標を達成するために、2つの取り組みが不可欠であると彼は考えている。ガスフレアとメタン漏出が発生しない天然ガスの生産・消費の急伸、そして、サウジアラビアや英国の北海などでの風力や太陽光のような再生可能エネルギーのさらなる利用だ。

「それは劇的な変化をもたらすでしょう」と彼は言った。

 

経歴

出生アラブ首長国連邦、1979年

学歴

  • イートン校(英国)
  • ケンブリッジ大学(英国)
  • ハーバード大学(アメリカ)
  • ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネス・スクール大学(英国)
  • 世界経済フォーラム ヤング・グローバル・リーダーズ

現職

  • クレセント・エンタープライズ社CEO
  • クレセント石油社社長
  • ガルフテイナー社取締役会長

クレセント社は中東エネルギー市場における主要企業であり、ジャファル氏は世界の化石燃料市場について確固とした見解を持っている。現在、需要に影響しうる中国でのコロナウイルス発生と、石油優位の時代が衰退しつつあるという長期的な不安により大きな懸念がなされている。だが彼は必ずしもそのような見方はしていない。

「現在と比べ2030年の中流階級は、アジアを中心に17億人増加します。これらの中流階級の消費欲求により、一次エネルギー需要が現在の約2億9000万石油換算バレルから2040年には3億5000万石油換算バレルまで増加することになります。サウジアラビア6つ分に相当する量です」

「なので、これもまた常に今日の政治家に最も人気のある選択肢とは言えませんが、長期的に考えれば、私たちの課題は、自然環境を破壊せず、代わりに人類の繁栄と、種としての生存がかかる自然共生システムの正常性との間のより健全なバランスを促進するような適切な解決策に力を注ぎ、これらの要件を満たせるようにすることです」とジャファル氏は述べた。

彼がダボスにいた主な理由の1つは、イートン校出身のジャファル氏の母校ケンブリッジ大学と共同で、新しい取り組みである戦略的慈善活動センターを立ち上げることだった。このセンターは、世界中の慈善寄付を調査、定量化、構造化し、最も必要とされている場所へ届けることを目的としている。

バドル・ジャファル氏。(Crescent Enterprises photo)

イスラム世界では、税ザカートと慈善寄付サダカが最大1兆ドルを生み出すが、ジャファル氏と同センターの協力者らは、これらが適切に使われていないことを懸念している。

「イスラム教徒の3人に1人が貧困状態で、今日の世界中の人道危機の90パーセントはイスラム教徒が多くを占める国で起こっています。また、不透明な資本の流れに関連するリスクがますます明らかになっており、これらの資金が適切な場所へ確実に届くようにするわかりやすく信頼できるシステムを早急に構築するという大きな責任があります」と彼は言った。

非常に大きな可能性が広がっている。同センターが利用した研究によると、今後10年間で約4兆ドルの世界の富が世代から世代へと受け継がれ、その半分がアジアで起こるとされる。新興市場は、一人当たりのGDPで見ると先進国の4倍の速度で成長しており、これにより発生する膨大な可処分所得の一部は慈善活動へと回るだろう。

彼は、慈善活動は、2030年に向けた国連の持続可能な開発目標を達成するために必要な約2.5兆ドルの資金不足を埋めるためにも利用でき得ると主張した。現在、慈善寄付のわずか5パーセントしか環境問題に使われていない、とジャファル氏はダボスでの主要テーマに再び言及した。

「なぜ企業がこれを気にする必要があるのでしょう?理由はたくさんあります。しかし根本的には慈善活動は公共の利益のための民間資本だからです。政府やある程度知られている企業資本は、どちらも気候変動に対処するため独自の取り組みを行っています。しかし、見過ごされている側面は慈善活動です」と彼は言った。

中東で最大の潜在的寄付者はサウジアラビアだ。ジャファル氏の父ハミドがイラクから移住したときに起業し、現在は弟マジドと共同経営しているクレセント社の事業は、ジッダとジュバイルにあるガルフテイナー社のターミナルでの港湾活動を通じ、同国で大きな規模を誇る。過去7年間で40億サウジ・リヤル(10億6000万ドル)を投資し、2,000人以上のサウジ国民を雇用している。

サウジアラビアとアラブ首長国連邦は、強力なリーダーシップと賢明な経済政策の可能性を示す世界的な役割を担っている。

ゆえに、サウジアラビアで進行中の変化に関する彼の見解は密接な関りを持つ。「サウジアラビアが経済的・社会的再興期にあることは、この地域の全ての人々、そしてますます多くの世界の人々にとって明らかであり、地域全体やその外にとって重要で刺激的な意味を持っています。経済多様化のプロセスは決して容易ではありませんが、この多様化推進の基盤を築くためにサウジアラビアの主要な分野を横断して講じられている措置は明白かつ迅速です」と彼は言った。

文化に造詣が深い彼は、ビジョン2030の改革の一環としてサウジアラビアの芸術と歴史に重点が置かれていることに特に感銘を受けている。「8世紀と9世紀のこの地域のいわゆる黄金時代をはじめとする歴史は、急速な変革期が常に、科学と人文科学が交差するときに起こったことを明確に示しています。私たちが変革を受け入れ、来るべき第4次産業革命で繁栄しようと努力している中、芸術家や創造的な人々の役割はお飾りではなく、基盤となるでしょう」と彼は語った。

近年のジャファル氏のもう一つの関心事は、パールイニシアチブという、良いコーポレートガバナンスの背景にあるビジネスケースを促進するために国連と提携したアラビア湾拠点の民間非営利組織である。

この取り組みは、説明責任と透明性を促進する方法が湾岸の事業でより主流になったため、この地域のガバナンス向上にある程度成功したといえる。しかし、いくつかの大きな企業スキャンダルを阻止することはできなかった。ジャファル家と主要な経済的利害関係にあり、破綻したプライベートエクイティファンド「アブラージュ」社の例が顕著である。

一般的に言って、ジャファル氏はガバナンスの分野でまだやるべきことがあると認めた。「より良いガバナンスを確立するプロセスはあらゆるビジネスと市場にとって長い道のりであり、向こう10年間で、この地域のビジネスコミュニティは良いガバナンスの成果を享受し、一方で十分な取り組みをしなかった企業は根絶されることになるでしょう」と彼は言った。

ビジネスにおける政府の主な役割は、特に民間投資の分野で直接干渉するよりも、企業文化を規制することだ。「投資や運営において政府と競わされていると企業に感じさせないことが重要です」と彼は言った。

「もちろん、政府が特定の戦略的な分野を管理する必要性は理解し、尊重しています。しかし、多くの分野では、政府は規制事業に注力し、企業がビジネスに従事できるようにする必要があります」と彼は述べた。

法規範と契約上の義務の順守も重要だ、と彼は言った。「重要な側面は契約の尊重です。私たちの投資の多く、および全てのインフラ投資は、30年以上の長期的なものです。強固な契約ガバナンス体制と、強固な調停と法的処置の枠組みがなければ、投資家の信頼は大幅に低下し、あらゆる国の資本コストは急騰するでしょう」

湾岸の2大経済圏は、中東ビジネスを主導するべきだ、と彼は考えている。

「サウジアラビアとアラブ首長国連邦は、成功への礎として、基準の設置と、地域とその社会を多様性や包括性、可能性追求を取り入れた発展した革新の中心地に変えるために強力なリーダーシップと賢明な経済政策ができることの実証という、ますます重要な世界的役割を担っています」と彼は大きく語った。

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