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サウジを始めイスラム諸国がスウェーデン極右グループのコーラン焼却計画を非難

2022年4月17日に撮影されたこの写真は、スウェーデン・マルメのローゼンゴード付近で、極右グループによる公然たるコーランの焼却が引き起こした暴動で燃えている車両を示している。(ヨハン・ニルソン/TT通信/AFP)
2022年4月17日に撮影されたこの写真は、スウェーデン・マルメのローゼンゴード付近で、極右グループによる公然たるコーランの焼却が引き起こした暴動で燃えている車両を示している。(ヨハン・ニルソン/TT通信/AFP)
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19 Apr 2022 11:04:45 GMT9
19 Apr 2022 11:04:45 GMT9

アラブニュース

  • ラスムス・パルダン氏と同氏のストラム・クルスが聖典の大量焼却を呼びかけた後に発生した暴力でスウェーデンが揺さぶられた 
  • サウジ外務省は極右グループの「イスラム教徒に対する煽り行為」を非難し、対話を呼びかけた 

ジェッダ:アラブ諸国やイスラム諸国は、スウェーデンの悪名高き極右グループ、ストラム・クルスによる、ラマダン月にイスラム教の最も神聖な書であるコーランを焼却する計画を強く非難した。

警察が聖典の焼却を阻止しようと試みる中、週末にかけて、ノルヒェーピング、リンシェーピング、リンケビュー、マルメ、エーレブルー、そして首都ストックホルムで衝突が発生した。

サウジアラビアは、同グループが「意図的」にコーランを冒涜し、イスラム教徒を煽ったと非難し、逆に対話、寛容、宗教的共存の文化を促進することを呼びかけた。

 

サウジアラビア外務省は声明を発表した。「サウジアラビア王国はスウェーデンの一部過激派による意図的な聖コーランの冒涜や、イスラム教徒に対する挑発と煽り行為を非難することを外務省は表明する」

同王国は、憎悪、過激主義、排斥を捨て去り、すべての宗教団体と聖地に対する冒涜を防止する取り組みを推進することの重要性を強調した。

エジプト、イラン、イラク、ヨルダン、マレーシア、カタールなどの国々も、ストラム・クルスの計画を非難した。イスラム協力機構、ムスリム世界連盟、またアラブ連盟の立法府であるアラブ議会も、反対意見を唱えた。

スウェーデン警察は4月18日の声明で、数日間の暴力の過程で、負傷者が40人に上り、うち26人が警察官で、20台以上の車両が損傷または破壊され、26人が逮捕されたことを明らかにした。

2017年にストラム・クルスを創設した、デンマーク国籍とスウェーデン国籍を持つ弁護士で極右政治家のラスムス・パルダン氏は、17日にノルヒェーピングのデモに参加する予定だったが、スウェーデンメディアによると、現場に現れなかったという。

17日遅くにストラム・クルスが発表した声明の中で、パルダン氏は、スウェーデン警察は「主催者やこの私を守る」ことができないという主催者の判断により、集会が取り止めになったと述べている。

論争の事の起こりは、4月15日にパルダン氏が、角が焼けたように見える書物を掲げる自身の写真を4,700人のインスタグラム・フォロワーと共有したことだった。「リンケビューで燃えているコーラン」というキャプションが付けられていた。

翌日、同氏はソーシャルメディアのフォロワーに向けて、自分の行動をまねするように呼びかけているように見える、「コーランを燃やすべき時だ」という投稿を行った。

2022年4月15日、デンマークの反イスラム集団ストラム・クルスが計画するデモに先立って、スウェーデンのエーレブルーで警察に投石するデモの抗議者。(キッキ・ニルソン/TT通信/ロイター経由)

今のところはスカンジナビア政治の周縁グループであるストラム・クルスだが、近年、特に中東、アフリカ、アジアの紛争や不安定な状況から逃げ出した数百万人の人々が欧州の地に到着し始めた2015年の欧州難民危機をきっかけに、勢いを増している。

ストラム・クルスやその他の極右集団は、日常的にイスラム教徒、経済移民、難民への敵意をかき立てようとしており、彼らの言葉を借りれば「スウェーデンの真の民族アイデンティティを保つ」ために、これらの集団を大規模国外追放することさえ要求している。

9月に予定されるスウェーデン議会選挙への立候補を目指すパルダン氏は現在、全国を巡って立候補への支持を確保しようと努めており、意図的に大規模イスラムコミュニティのある地域で選挙活動を行うことが多い。

2022年4月15日、デンマーク人の反イスラム政治家ラスムス・パルダン氏と同氏のストラム・クルス党が計画したデモに先立って、スウェーデンのエーレブルーで暴徒を追いかける警察官。(ポール・ウェナーホルム/TT通信/ロイター経由)

パルダン氏がコーランをおおっぴらに焼却することを呼びかけ、イスラム教徒の挑発を試みたのは、今回が初めてではない。2020年11月、同氏のウェブサイトは、パリの支持者に向けて、凱旋門で集会を開き、「平和的な市民集会の準備としてコーランを燃やす」ことを促した。

同じ月に、パルダン氏は支持者に向けて、ブリュッセル郊外のモレンベークに集まって、「欧州の愛国的な人々がコーランを燃やして、イスラム教を公然と侮辱する」ことも促した。

2020年、ストラム・クルスのソーシャルメディアアカウントでイスラムコミュニティに対する憎悪を煽ったとして、パルダン氏は1カ月の服役を言い渡された。その前年には、人種差別で執行猶予付き判決を受け、名誉棄損や危険運転など14件の罪に問われた。

また、パルダン氏は、コーランの焼却を試みて憎悪を煽った最初の公人でもない。2010年、特定の宗派に属さない教会、ダブ・ワールド・アウトリーチ・センターを設立したフロリダ州の牧師であるテリー・ジョーンズ氏は、9・11攻撃の9周年にイスラム教の書を燃やすことを誓った。

2022年4月18日、イスラム教の神聖な断食月であるラマダンの期間中に、ガザ市のアル・オマリ・モスクでコーランを読むパレスチナ人イスラム教徒。(マジディ・ファティ/NurPhoto)

この焼却計画は世界的な非難を引き起こし、バチカンや国連までもがジョーンズ牧師に思いとどまることを促した。

当時、アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)で司令官を務めていたデヴィッド・ペトレイアス氏は、タリバンやその他の過激派が焼却を利用して、支持を集めたり、欧米でのテロを推進したりする可能性があると警告した。

2022年4月18日、スウェーデンの極右グループによるイスラム教の聖典の焼却計画に抗議して、テヘランのスウェーデン大使館前でデモを行うイランの学生。(アッタ・ケナレ/AFP)

「これはまさにタリバンが用いるような行為であり、大きな問題を引き起こす可能性がある。ここにおいてだけでなく、我々がイスラムコミュニティとかかわりを持つ世界のあらゆる場所でだ」と、当時ペトレイアス氏は述べている。

ABCテレビの『グッド・モーニング・アメリカ』でジョーンズ牧師の計画について尋ねられた当時のバラク・オバマ大統領も同じように、コーランの焼却は「米国や欧州の都市で自爆テロを起こすようになる人物のリクルートが増える可能性がある」と警告した。

激しい反対を受けて、ジョーンズ牧師は9・11の記念日に大量焼却を実施しなかった。

同様の非難が、パルダン氏やストラム・クルス支持者に、焼却を思いとどまらせることになるかどうかは、まだわからない。

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