
携帯電話大手ソフトバンクが持つ次世代通信規格「5G」の営業秘密情報が不正流出した事件で、元社員合場邦章容疑者(45)が転職先の楽天モバイルで使っていたパソコン(PC)の中に、ソフトバンクから持ち出したとみられる情報が保存されていたことが14日、関係者への取材で分かった。
合場容疑者が転職直前の2019年11月下旬~12月、約30回にわたり、約170点の同社の情報ファイルを持ち出していた疑いがあることも判明。これらの情報を転職先の業務で活用した可能性があり、警視庁は詳しい経緯を調べている。
合場容疑者は、ソフトバンク社員だった19年12月31日に同社サーバーにアクセス。営業秘密に当たる5Gや基地局整備の情報などが入ったファイルをメールで自分自身に送信したとして、不正競争防止法違反容疑で逮捕された。
関係者によると、警視庁は20年8月、楽天モバイル本社や合場容疑者が実際に働いていた場所などを捜索。押収した業務用パソコンから、ソフトバンクから流出したとみられる情報が見つかったという。
ソフトバンクは、流出した情報を楽天モバイルが事業に利用した可能性が高いとして、情報の廃棄などを求め提訴する方針を示した。一方、楽天モバイルは「(合場容疑者が)前職で得た営業情報を弊社の業務に利用したという事実は確認されていない」とコメントしている。
JIJI Press