ナジア・フサリ
ベイルート:レバノン中央銀行は、同行のリアド・サラメ総裁が兄弟とアシスタントと結託して、最大4億ドルを海外送金したという疑惑を否定した。
同行の主張は、スイスの捜査当局がサラメ総裁による送金を公表した後に続くものだ。
スイスの司法長官事務所は、「悪質なマネーロンダリング」と、レバノン中央銀行が関わる公金横領の捜査という観点から、レバノンに法的支援を要請したと述べた。
サラメ総裁はいかなる不正行為もしていないと主張し、スイス当局の申し立てを「作り話」であり、虚報だと述べた。
1月19日の声明で、レバノン中央銀行(バンケデュリバン)は次のように述べた。「サラメ総裁はいつも通り、現行のレバノン国内・国際法を順守し、関係各方面と協力しています」
レバノンの親ヒズボラ系新聞、アル・アフバール紙は同日、サラメ総裁の関わる資金転送の捜査で、法的支援を提供するように、EUとスイス当局からレバノンは要請を受けたと報じた。
同紙によると、ヨーロッパの捜査当局は、サラメ総裁、兄弟のラジャ氏、アシスタントのマリアンヌ・ホアイク氏による総額4億ドルの銀行送金に関して、情報を集めているという。
当日の早い時期に、マリー・クロード・ナジム法務大臣は、スイスの司法当局から、サラメ総裁による送金に関する捜査協力の要請を受けたと正式発表した。
同紙は次のように述べた。「こうした犯罪行為の捜査は、サラメ総裁だけを対象としたものではない。むしろ、これは中央銀行とその系列機関、とりわけ、ファイナンスバンク、ミドル・イースト航空(MEA)、イントラ・バンク、カジノデュリバンを対象にしている」
ミシェル・アウン大統領とハッサン・ディアブ暫定首相は、この事件の知らせを受けていた、と同紙は報じていた。
アル・アフバール紙は、身元を明かさなかったが、情報筋が次のように述べたと報じた。「ヨーロッパ当局は、フランス、イギリス、アメリカと協力して集めた膨大なリストにあるレバノン関係者がからむ申し立ての一環として、サラメ総裁の事件を詳しく調べている。アメリカは、EUの関与を要請し、制裁はアメリカ合衆国財務省だけが課すのでもなければ、テロ資金供与関連だけに課すものでもないと主張した」
レバノンの中央銀行は、同紙の主張を「根拠のない作り話」と述べ、これに対して法的措置を取ると警告した。
ある金融・銀行の情報筋は、アラブニュースに次のように語った。「中央銀行の総裁は、バンケデュリバンから海外に資金を送る法的権利を一切持っていません。民間金融機関を通したあらゆる送金と、中央銀行のあらゆる業務は、中央銀行の中央委員会と政府の検査官によって、完全に監視されています」
その情報筋は、世界のどんな中央銀行であろうとも、海外送金した場合、「アメリカの監視下に置かれます」と語った。
この情報筋によると、「レバノンは大抵、税務情報交換契約に基づいて、支援を提供する外国からの要請を受け入れます」と語った。
この情報筋は次のように語った。「私は誰も擁護するつもりはありません。言及された内容は、政治的対立が存在することを示唆しており、発表された内容は、レバノンの政治闘争の一部なのです」
アウン大統領とその派閥は、中央銀行にも法廷監査を実施するように要求し、議会は法廷監査の範囲を拡大し、あらゆる国家機関に課す要求を承認した。
レバノン政府の政策に資金を提供するために借り入れをした後、中央銀行は民間金融機関にあるレバノンのドル建て預金を消失させたことで、非難を受けている。
レバノンの不況に陥った金融制度は、2019年後半に発生した金融危機の中心とっている。2019年以来、銀行は大抵の海外送金を阻止し、預金の引き出しを防ぎ、幅広く国民の怒りをもたらす結果となり、ますます多くの人々が経済的苦境に直面している。