
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で外部からの侵入を検知できないなどテロ対策の不備が続いていた問題で、原子力規制委員会は24日、東電に対し、状況の改善が検査で確認されるまで、同原発内の核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出すことを決めた。
原子炉等規制法に基づく行政処分が規則違反などを理由に出されるのは、2013年の高速増殖原型炉「もんじゅ」に関する保安規定変更命令以来、2例目。
同原発7号機は規制委の新規制基準適合審査に合格しているが、命令では原子炉内への核燃料搬入も禁じるため、再稼働に向けた準備は事実上ストップする。東電の取り組みの改善を確認する規制委の検査には1年以上要するとみられ、再稼働は見通せなくなった。
規制委は16日、同原発の侵入検知設備の不備について「核物質防護上、重大な事態になり得る状況にあった」として、4段階評価のうち最も深刻なレベルと判断。その後、東電に半年以内に原因分析や再発防止策などについての報告書提出を求めるとともに、状況の改善などを確認する立ち入り検査の実施を決めた。
更田豊志委員長は24日の会合で、「東電の核物質防護が十全なのか確認し切れていない状態だ」と指摘。「現在、核燃料は使用済み燃料プールにすべてあるが、移動させなければ防護に対して一定の強化が図られる」と述べ、核燃料の移動を禁じることを決めた。
柏崎刈羽原発では、昨年9月にも所員が同僚のIDカードを使って中央制御室に不正入室していたことが発覚。核物質防護やテロ対策に関わる失態が相次いでいる。
JIJI Press