
日本の政策立案者が、最低賃金の引き上げを求める動きを強めている。新型コロナ抑制措置解除後およびワクチン普及後の、世帯当たりの消費の活性化および経済の回復を狙う戦略の一環としての動きである。
麻生太郎財務大臣は水曜日、金融緩和だけで経済を活性化させるのは難しいとし、従業員の給与を引き上げることで活性化を支援するよう企業に求めた。
麻生氏は国会発言として、企業が給料を引き上げ、利益をもっと家計に還元するように働きかけなければ、消費は活性化しないと述べた。
麻生氏はさらに、日本の最低賃金を現在の約900円から約1,000円(約9米ドル)に引き上げることを目指していかなければならないと述べた。
この発言は、菅義偉首相が月曜日に発表した、パンデミックの影響を最も強く受けた非正規労働者の処遇を改善するため、政府は平均最低賃金を「より早期に」1,000円に引き上げることを目指すという発言と一致するものである。
政府の経済財政諮問会議では、最低賃金の引き上げ、特に大都市部と比較して賃金水準の低い地方における最低賃金の引き上げが議題として主に取り上げられると予想されている。同諮問会議では、長期的経済戦略の概要発表を今年半ば頃に予定している。
日本経済は好調な輸出に支えられ、パンデミックによる初期の打撃から景気回復へと向かった。ただ今期については、縮小する可能性が高いとみられている。1月に実施された新緊急事態宣言が解除されたにもかかわらず、消費が低迷したためだ。
政策立案者の多くが、パンデミック後の日本の回復は緩やかなものになると予想しており、一部のアナリストは、このまま消費の低迷が続けばデフレに逆戻りする危険性もあると警告している。
最低賃金引き上げの話題が賛否両論を巻き起こすことも考えられる。賃金労働者にとっては消費できるお金が増える一方で、パンデミックによる打撃からかろうじて生き延びている状態の、地方の中小企業を直撃することになるからである。
日銀の黒田東彦総裁は、同国会で演説し、金曜日に行われた見直しにより、政策手段をさらに持続可能なものにした上で、今後も「強力な」金融緩和を継続していくと約束した。
黒田総裁は、日本はデフレの経験が長いことから、インフレが加速するには時間がかかるだろうと述べている。
ロイター