
検索サービスなどを手掛けるヤフーの親会社Zホールディングス(HD)と無料通信アプリ大手のLINEは18日、経営統合することで合意したと発表した。独禁当局の審査を経て、2020年10月の統合完了を目指す。統合により利用者が1億人規模に上る国内首位のインターネットサービス企業が誕生。規模拡大やサービスの融合で、米アマゾンなど海外の巨大IT企業に対抗する。
ZHD(19年3月期)とLINE(18年12月期)の連結売上高は合計で約1兆1600億円。楽天(18年12月期、約1兆1000億円)を上回り、国内の主要ネット企業でトップとなる。両社は統合による相乗効果を追求するほか、人工知能(AI)、電子商取引、フィンテック、広告など「新規事業領域での成長を目指し投資を実行する」方針だ。
ZHDの川辺健太郎社長とLINEの出沢剛社長が18日午後5時に記者会見し、統合の狙いなどを説明する。
ZHDは、ソフトバンクグループの中核企業である通信大手ソフトバンクの子会社。ソフトバンクとLINEの親会社の韓国IT大手ネイバーは折半出資で新会社を設け、新会社がZHDを傘下に収め、ZHDの完全子会社としてヤフーとLINEを存続させる。
統合の過程で、ソフトバンクとネイバーは共同でTOB(株式公開買い付け)を実施し、LINEの全株式を取得。これに伴いLINEは上場廃止となる。株式取得額は計3400億円を想定しており、実施時期は未定。統合完了後、ZHDの社長は川辺氏が続けるが、川辺氏と出沢氏が共同最高経営責任者(CEO)となる。
ヤフーとLINEは、一部サービスでは補完関係にあるものの、スマートフォン決済や通販など重複するサービスも多い。両社が手掛けるスマホ決済の「ペイペイ」と「LINEペイ」の登録者は単純合算すると5000万人を超える。公正取引委員会は経営統合の届け出を待って、競争が制限され、消費者の不利益にならないか慎重に審査する方針だ。
◇ヤフー・LINE統合のポイント
一、独禁当局の審査を経て2020年10月の統合完了予定
一、ソフトバンクとネイバーによるTOB(株式公開買い付け)を経てLINEは上場廃止
一、Zホールディングスの川辺健太郎社長とLINEの出沢剛社長がZHDの共同最高経営責任者(CEO)に就任
一、人工知能(AI)、電子商取引、フィンテック、広告などの領域で投資を実行
一、日本、アジアから、世界をリードするAI技術企業を目指す
JIJI Press