フランク・ケイン
ドバイ:エネルギー業界の第一人者によると、世界の石油市場の行き詰まりは8月まで続き、原油価格の大幅な上昇を引き起こす可能性があるという。
アメリカの銀行JPモルガンのアナリスト、クリスチャン・マレク氏は、OPECプラス(今月これまでに増産合意に失敗している産油国連合)が、「より高い生産ベースラインを定めた場合について検証する適正手続きを行っているため」、生産協定をまとめるのには最大6週間かかる可能性があると述べた。
膠着状態が生じたのは、OPECプラスの他の22ヶ国が合意していた増産でUAEが合意する前提として、ベースラインの再評価を希望したことが原因だ。
この提案は、世界経済がパンデミック不況から脱却する中で、今年末から2022年にかけて需要が増加することを背景に、石油供給の長期的安定性を確保する目的で、サウジアラビアとロシアが提示したものだ。
「最終的に我々は、サウジが自国の意見を通すものと期待しているが、原油価格の大幅な上昇というテールリスクがないわけではない」と、マレク氏が投資家向けの研究ノートに綴った。
「サウジとロシアが主導する、8月から(2020年4月の参考生産水準に達するまで)毎月40万バレル増産するという提案は、将来の赤字を相殺し、原油価格の上昇を抑えるのに役立つにもかかわらず、UAEからはまだ承認されていない」と、同氏は付け加えた。
増産が行われなければ、世界の大消費国では下半期に在庫が減り、OPECプラスが基準として利用している5年平均値を下回る可能性があり、原油価格は「徐々に強気」に上昇するだろう。
「これが今度は、UAEに対し、OPEC内でお互いにとってメリットのある枠組みで解決することを促す可能性があると、我々は考えている」と、マレク氏は述べた。
「我々は昨年の価格競争のような全面的な決裂は見込んでおらず、協定がまとまるよう当事国が取り計らう意欲を維持することが最善のケースだ」と、同氏は付け加えた。