
パナソニックは22日、東京都内で投資家向け説明会を開き、2021年度までに低収益の構造要因である赤字撲滅へ大なたを振るう方針を示した。黒字転換の見込めない事業を抜本的に見直し、拠点集約や人件費削減で計1000億円を捻出。IoT(モノのインターネット)を活用した製造・物流業の効率化支援をはじめ新分野の開拓を急ぐが、同日は中長期の収益目標を示さず、パナが掲げる「課題解決型の高収益企業」に転換できるかは不透明だ。
「社長の役割は(トップダウンで)気合を入れることだ」。津賀一宏社長は赤字撲滅に決意を示した。現中期計画最終年度の21年度までに不採算分野や競争力の維持が困難な事業について方向性を決定。21日に発表した液晶パネル事業撤退もその一環と位置付け、「既存事業を既存事業という形では残せない」(津賀氏)との強い危機感を、実際のリーダーシップに結びつけられるかがカギを握る。
パナを取り巻く経営環境は厳しさが増すばかりで、成長エンジンと期待する車載用電池については、巨額の投資回収が最大の課題。津賀氏は主力供給先の米電気自動車大手テスラと「パートナーであり続ける」と強調したが、中国市場では「(調達先を)決めるのはテスラ」と現地生産には及び腰だ。高容量の角形車載電池をめぐっても、トヨタ自動車との共同出資会社で20年春ごろに始動する方針を明らかにしたが、「収益のけん引役には力不足」(外資系アナリスト)との見方もある。
その巨大市場の中国では、空調と家電を軸に21年度に売上高9400億円へ18年度比約4割増に引き上げる意欲的な目標を打ち出した。同国の景気減速が顕在化する中、津賀氏は「良好な会社と付き合う限り大きな懸念はない」と強気の構えだが、長引く米中貿易摩擦はパナの行く手を阻みかねない。
Jiji Press