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レバノンで銀行危機が継続する中、金融部門を拡大するヒズボラ

首都ベイルートのレバノン中央銀行本部の外で修復作業を行う作業員たち。(AFP 資料写真)
首都ベイルートのレバノン中央銀行本部の外で修復作業を行う作業員たち。(AFP 資料写真)
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19 Feb 2023 11:02:51 GMT9
19 Feb 2023 11:02:51 GMT9
  • レバノン銀行協会は、密輸の支援を行ったとしてレバノン政府を非難している。レバノン政府は、シリアに違法に持ち込まれる資材に補助金を交付しつつ1ドルが1,500レバノン・ポンドの為替レートを維持するために、2019年以降で200億米ドル以上を支出したという。

ナジャ・フサリ

ベイルート: レバノン銀行協会は、「50人未満の傭兵によって実行される、組織的に銀行部門を破壊する計画」に対して警告を発した。

レバノン銀行協会は、木曜日に銀行に放火した抗議運動参加者のグループに言及した。同協会は、「預金を引き出すのに必要な資金は銀行にはありません。そのため、力づくで銀行に押し入り、破壊し、内部を壊しても、何の利益も得られません。あなたたちは、自らにとって害になることをして、自らの権利を取り戻す可能性を減じているだけです。あなたたちの権利を奪い取ったのが誰で、あなたの権利を回復するために誰に狙いを定め圧力をかけるべきかが、明らかとなる時が来ました」という声明を発表した。

レバノン銀行協会(ABL)は、同協会のストライキがレバノン通貨の下落の一因となっているとの非難に困惑していると述べた。「銀行が閉じれば、レバノン通貨の価値を下げたと批判されます。銀行が開けば、市場を操作していると批判されます」

「銀行は、レバノン中央銀行(BDL)との申し合わせに従い、また、国際的な銀行業務の原則に従って、顧客の預金をBDLに預金します。こうして集まった資金は、為替レートを支え、国家の予算を調達するために使用されましたが、その後、返還されることがありませんでした。関係者の一部が国家の義務を免れようとしたのです。そうした行為のために、銀行は240億米ドルに上る民間資金をすべて失いました。それでも、銀行は預金を押さえて、貪欲に、BDLに貸し付けていると非難されています」

ABLは、密輸の支援を行ったとしてレバノン政府を非難している。レバノン政府は、シリアに違法に持ち込まれる資材に補助金を交付しつつ1ドルが1,500レバノン・ポンドの為替レートを維持するために、2019年以降で200億米ドル以上を支出したという。

同協会は、「銀行は550億米ドル以上の預かり資産を貸し付けており、預金者に返金するためにその回収作業に努めています。そして、ほとんどの司法判断では、破綻前の公式為替レートである1米ドル1,507レバノン・ポンド、または、BDLから引き出した銀行の手形によると、多くても貸付額の15%未満相当の金額で債権を回収することになります。それでは、現在、銀行はどのように顧客に預金を返却できるのでしょうか?」と述べた。

ある経済観測筋は、いくつかの支店への破壊行為に続いて、銀行が無期限ストライキに巻き込まれ、完全閉鎖に至り、そして市民との直接的な対峙を余儀なくされるのではないかと危惧している。

土曜日、レバノンの経済団体複数が、銀行への破壊行為を非難し、現行の危機を最小限の損失で切り抜け、預金者の権利を守るために、皆が理性的かつ責任のある行動をとる必要があると、強く主張した。

一方、ヒズボラは、同党の出先機関がほぼ不在で、ドゥルーズ派とキリスト教徒が圧倒的多数を占めるスーク・アル・ガルブ・アレイ地区に、米国の制裁対象となっているアル・カード・アル・ハサン協会の新しい支部を開設すると発表した。

アル・カード・アル・ハサン協会はヒズボラの金融部門とされている。つまり、この新支店は、崩壊途上の国家の金融機関を犠牲として、ヒズボラの金融機関が成長していることを明らかにしているのだ。

匿名を希望するある経済学者は、アル・カード・アル・ハサン協会は、銀行が衰退し融資が困難となっていることから利益を得ていると指摘した。アル・カード・アル・ハサン協会はそれに乗じて、金や不動産を担保に取った上で融資を行っているのだという。

「この協会は、融資をし、その金額を回収するまで担保を保持します。そして、お客様がローンを清算されない場合、協会は金や不動産を売却します」と、アル・カード・アル・ハサン協会は述べている。

同協会のファイルシステムは1年前にハッキングされ、預金者や借用人に関するデータの一部がリ流失した。流失したデータには、同協会が約5億米ドルの預り資産を保持し、4億5,000万米ドル相当の貸付を行っていたことが示されていた。

アル・カード・アル・ハサン協会はBDLの認可を受けていない。そのため、借用人が何らかの問題に直面したとしても、同協会は司法当局の追及を受けたり、責任を負うことは無い。

元国会議員のムスタファ・オールーシュ氏は、「この支部を開設することで、ヒズボラは無宗派ですべて人々のためのものなのだという印象を与えようとしています。事実として、ヒズボラは、国境を越えて行う密輸やカプタゴン取引、国家の崩壊から得ているような利益を、この協会から得てはいません」と、アラブニュースに語った。
オールーシュ氏は、「国家としてのレバノンは両手を縛られている状態です。憲法が適用され、レバノン政府が確約した改革が行われない限り、この国家の残骸は決定を下すことができません」と、続けた。

オールーシュ氏は、暴動は政府に圧力をかける理由になるので銀行にとって都合が良いものであり、そのようにして銀行は国民の預金の消失の全責任を負うことを免れ、国家やBDLの共犯者に成り果せるのだと付け加えた。

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