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同じ生産計画に固執する可能性のOPECプラス会議を前に石油市場弱気を示す

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01 Sep 2021 06:09:23 GMT9
01 Sep 2021 06:09:23 GMT9

マイケル・グラッキン

9月1日のOPECプラス会議を前にして、原油取引価格は下落した。OPECプラスは、計画よりも早いペースでの増産を求める米国政府の要求を無視して、計画どおりの日量40万バレルの増産に固執すると予想されている。

ロシアを含むOPECプラスは、サウジアラビア時間の1日午後6時に会議を開く。

OPECプラスの合同技術委員会は、今年の石油市場は日量90万バレル(bpd)の供給不足が続き、OPECプラスが従来の約束に沿って生産量を増やすにつれて、2022年には250万bpdの供給過剰に達するとの予想を発表した。

現在の逼迫した状態では市場は一度きりの混乱の影響をますます受けやすくなるという懸念はあるが、石油トレーダーの大半は石油価格に弱気の見方を示している。

ハリケーン・アイダのためにメキシコ湾の洋上石油プラットフォームは閉鎖され、同湾の石油・ガス生産の約95パーセント、日量172万バレルの原油と日量20億1000万立方フィートの天然ガスの生産が停止している。

だが、世界最大の石油輸入国である中国の最新の状況は、パンデミックが需要に及ぼす影響についての懸念を増している。中国の工場生産高の伸びは8月の予想よりも低下し、サービス部門に至っては縮小した。

ロイターがアナリストを対象に行った調査では、今年の石油価格が70米ドルを優に下回り続けると考える人が大半を占めている。

DBS銀行のアナリスト、スブロ・サーカー氏は、「デルタ変異株が需要と価格に心理的に重くのしかかっており、近い将来に石油価格の過熱はありそうにない」と語っている。

アナリストの平均予想価格は、2021年のブレント原油で1バレル68.02ドルとなっており、以前のコンセンサスである68.76ドルよりやや低下している。

だが、市場のより強気の見方では、新型コロナウイルス・ワクチンが普及して世界経済、とりわけ航空業界の国際線部門が再開し続けていくなかで、石油価格は2割上昇する余地がある、と考えられている。

スイスのUBS銀行は、ブレント原油は今年末までに1バレル75ドル以上になると予想している。

UBSウェルス・マネジメント本部の最高投資責任者マーク・ハフェル氏は、「2021年末までは石油市場の構造的な逼迫が持続すると予想している。エネルギー部門はグローバルな経済再開の主要な受益者だと考えている。今年、ブレント原油が1バレル75ドル以上に達するとの予測を維持している」と語った。

現時点でOECD諸国の石油在庫量は、5年平均をかなり下回っている。新型コロナウイルス・ワクチンが世界全体に行き届いて人や物資の移動が改善することで、今後数カ月でさらに減少する可能性が高い。

ミラー・タバクの株式ストラテジスト、マット・メイリー氏は今週、米国の原油価格は今年20から50パーセント跳ね上がる可能性がある、とCNBCに語った。

昨年10月以来、エネルギー部門のパフォーマンスは全市場平均を大きく上回っている、とも発言している。

1日のOPECプラス会議は、石油・ガス生産業者は「着実に上昇している価格がもたらした現在のキャッシュフローを利用して事業の脱炭素化を加速する必要がある」との警告が出されているタイミングで開催される。

エネルギーコンサルタント会社のウッドマッケンジーは、「石油価格の棚ぼた」は生産業者に再生可能エネルギー投資を増やす「絶好の機会」を与えた、と表明している。

ウッドマックの企業研究担当シニア・バイスプレジデント、トム・エラコット氏は、「1つの業界が、『事業が脅威にさらされている』という数十年規模の通告を受けることは、非常にまれだ。石油・ガス産業はありがたいことに明確な警告を発されているだけでなく、価格高騰に由来する多額のキャッシュフローを手に入れている。商品価格の上昇サイクルによって、明確な財務的枠組みの下で排出削減を加速する絶好の機会が与えられている」と語った。

同社企業研究担当バイスプレジデント、デービッド・クラーク氏が、「多くの石油・ガス会社は、短期的なキャッシュフローのリスクを下げるためのヘッジコストを喜んで受け入れる。現在は、長期的な炭素リスクを低炭素投資の増額でヘッジすべき時だ」と付け加えた。

クラーク氏は、生産者は化石燃料から移行するための財務的枠組みを定める必要がある、と述べた。これには、配当と従来の石油・ガス事業および未来の低炭素事業への投資の間での資本配分を含める必要があるという。

ウッドマッケンジーのコーポレートサービス部門では、石油メジャーは2021年の投資予算額の約15パーセントを再生可能エネルギーに配分していると推定している。しかし、配分割合をさらに高める必要があるという。 

8月31日、10月限のブレント原油先物は、期限満了に伴い、リヤド時間の午後6:04時点で、0.56パーセント下落して1バレル73ドルになった。米国のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物は、0.64パーセント下落して68.77ドルである。

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