
パナソニックは28日、半導体事業から撤退する方針を固めた。半導体の開発、製造を手掛ける子会社パナソニックセミコンダクターソリューションズ(PSCS社、京都府長岡京市)の株式を台湾企業に売却する。パナソニックの半導体事業は赤字が続いており、事業継続の可否を検証していた。かつて世界を席巻した日本の半導体だが、苦境が改めて浮き彫りになった。
パナソニックは1950年代に半導体事業に参入。90年代以降は主力事業の一角を担った。しかし、近年は韓国や台湾などの海外勢に押され、収益が悪化していた。米中貿易摩擦による販売減少も追い打ちをかけた。
パナソニックは2021年度までに赤字事業の「撲滅」を目指しており、21日には液晶パネル事業の撤退を決めたばかり。不採算事業を聖域なく見直し、構造改革を加速させる。
関係者によると、PSCS社の売却先は台湾の新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)。PSCS社の19年3月期の売上高は922億円、営業損益は235億円の赤字だった。
また、PSCS社とイスラエル企業が共同出資し、富山県や新潟県で大規模集積回路などを製造しているパナソニック・タワージャズセミコンダクター(富山県魚津市)についても売却する方向で検討している。