
自民党の岸田文雄新総裁は29日の就任記者会見で、自身の政権運営について「幅広い皆さんの所得、給与を引き上げる経済政策を取っていきたい」と述べ、格差是正に全力を挙げる意向を示した。新型コロナウイルス対策では「みんなで頑張ろうという心をしっかりと取り戻す」と国民に協力を呼び掛け、「ワンチームとしてこの国難に取り組んでいく」と語った。
岸田氏は「年内に数十兆円規模の経済対策を策定する」と、大規模な財政出動に取り組む考えを明らかにした。その上で「新しい資本主義を構築していきたい。今こそ成長と分配の好循環を実現し、全国津々浦々に成長の果実をしっかり届けていきたい」と強調した。
看護師、介護士、保育士の待遇改善に触れ、こうした職種の給与を引き上げることが、民間給与の上昇にもつながると指摘。「地域や分野にかかわらず給与を引き上げる、そのことによって経済全体の消費が間違いなく喚起される」と訴えた。
総裁選で党役員任期を最長連続3年に制限すると公約したことに触れ、「1ミリたりとも後退していない」と、実行に移す方針を明言した。
森友学園問題については「政治の立場からしっかり説明をしていかなければならない」と語ったが、再調査には言及しなかった。2019年参院選広島選挙区で党本部からの資金1億5000万円が大型買収事件の原資となったかに関しても、「いま一度確認し、必要であるならば説明する」と踏み込まなかった。
時事通信