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温暖化効果ガス排出ネットゼロへの道のり、世界経済に年間5兆ドルの負担、とバンカメ

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20 Oct 2021 11:10:38 GMT9
20 Oct 2021 11:10:38 GMT9

マイケル・グラッキン

バンク・オブ・アメリカは発表した報告で、温暖化効果ガス排出ネットゼロを実現するためには世界経済に向こう30年間毎年5兆ドルの負担が掛かる、と警告した。

二酸化炭素排出量削減についてのパリ協定に調印した各国が一同に会し、2050年までのネットゼロ実現に向けた各国の進歩を見返しそれぞれ政策を打ち立てる場となる国連COP26環境会議のスコットランド開催が今月目前に迫っているが、この報告は環境により優しいエネルギー政策への転換コストの大きさを突き付けるものである。

報告では気候変動対策を採らない場合、世界のGDPは2030年まで毎年3%縮小し、その影響は今世紀末までにおよそ69兆ドルにのぼることとなる、とも警告している。

COP26の最重要課題はネットゼロに向けた転換を促進するために通貨に裏付けされた具体的な政策に各国政府が同意できるかである。これらの政策には石炭の利用を段階的に廃止する約束、森林破壊の大幅な削減、電気自動車導入および暖房システムの環境保護化への転換加速、再生可能エネルギーの利用促進を目指す財政対策の導入が含まれる。

その昔スコットランド工業の中核都市であったグラスゴーで開催される今回の会議ではさらに、新興国の環境保護主義的エネルギーへの転換を支援するため西側先進諸国が毎年200億ドルの不足分を補う約束の履行についても協議される予定だ。

先進各国は先に新興国に対して1000億ドルを提供することに同意していたが、この約束は十分果たされていないだけでなく、グラスゴーにおける合意で国連は毎年の不足補填額をさらに増加させることを求めている。

国連環境計画(UNEP)ではエネルギー転換に関する新興国のコストは2030年までに140-300兆ドル、2050年までに280-500兆ドルに達すると想定している。サンフランシスコを拠点とするシンクタンク、クライメート・ポリシー・イニシアティブ(Climate Policy Initiative)はアフリカだけで2030年までに最大3兆ドル必要とする、と推測する。

これらを背景としてバンク・オブ・アメリカではエネルギー転換によって2030年までに各国政府に掛かる総コストは、全世界におけるコロナウイルス対策総合経済政策の合計総額の少なくとも4倍にものぼる150兆ドルに達する、とみている。

バンク・オブ・アメリカの報告ではネットゼロ実現に必要な数兆ドル規模の資金調達には「資本配分における大規模な変更」が必要となる、としている。

先週アラブニュースが報じたように、世界資源研究所(World Resources Institute、WRI)は世界の温室効果ガス総排出量の75%をいまだにG20参加国が占めているとしている。一方ムーディーズ・インベスターズ・サービスの報告では、G20諸国の金融機関が炭素に依存する産業においておよそ22兆ドルのエクスポージャー(経済的リスク)を抱えていることが明らかにされていた。

一方でバンク・オブ・アメリカは、環境問題に取り組むラベル付き債券やローンの利用が急速に拡大している、としている。

同銀行は今年1兆ドル分以上のラベル付き債券が発行されたと推計しており、その内訳はグリーンボンド・ソーシャルボンド・サステナビリティボンド合わせて9000億ドル、サステナビリティ・リンク・ボンドが1000億ドルとしている。

環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮重視やEU欧州連合の規制によってヨーロッパでは格付けが高く高金利の発行社債の2割以上をラベル付き債券がすでに占めている、と報告は付け加えている。これは2020年の倍以上の比率である。

この報告は西側先進諸国各国政府の地球緑化政策に対する支出能力について楽観視しているが、一方で二酸化炭素総排出量の約75%を占めるおよそ50カ国とEU諸国がネットゼロ実現を約束しているにもかかわらず、これまでその内の10カ国しかこの約束についての法整備を実現していない、と報告は記している。

2050年や今世紀末までといった長期的目標の実現を約束する国家がある一方で、これら国家はパリ協定にのっとった2030年を目標とする約束を採用するには至っていない、と報告は付け加えている。

良い知らせがあるとすれば、それはバンク・オブ・アメリカのコスト推計がそれまで出されていた予想を大きく下回ることだ。この夏発表された市場の注目を集めるブルームバーグNEFの「長期エネルギー見通し(New Energy Outlook、NEO)」はその額を総額173兆ドル、毎年にして5.8兆ドルと推測していた。

世界各国がグラスゴーに集まる中、これはある種の進歩だ。

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