
カルドン・アザリ、東京
エネルギーアナリストによると、豊富な供給と市場需要の低迷により、北東アジアのアセスメントされたスポット液化天然ガス(LNG)価格は10年ぶりの最低水準まで押し下げられている。
日本のシンクタンクである日本エネルギー経済研究所の橋本裕シニアアナリストによると、10月中旬に一時的に100万Btu当たり7ドルを超えたものの、12月と1月の引き渡し価格は11月末以来6ドルを下回っているという。
北東アジアの4つのLNG市場のデータによると、この地域は2019年の最初の10か月間に1億5,800万トンのLNGを輸入しており、前年比で2%の減少となった。
日本の輸入は、同期間中に7.2%、500万トン減少して6,425万トンとなり、一方、韓国は9%、台湾は5%の減少となった。
ただし、同期間における中国の天然ガスの生産と消費は、消費成長率が2017年に15%弱、2018年に18%弱であったにもかかわらず、10%増加した。
同期間中の中国の天然ガス輸入量は7,771万トンで、年間8%の増加となった。そのうち、LNGは4,770万トンで、2018年の同期間と比較して15%増加した。
ただし、後者の成長率は、2017年と2018年の間にそれぞれ46%と41%であったのに比べて大幅に下回っている。中国によるLNG輸入の増加は、主に日本、韓国、台湾の減少により相殺されている。
2019年の最初の9か月で世界の年間LNG取引量は12%増加し、およそ2億6,000万トンにまでなったため、北東アジアの4つの輸入国の占めるシェアは、2018年全体では62%だったのが、この9か月間では55%に縮小している。
一方、トルコを含む欧州地域では、2019年の最初の9か月間におけるLNGの輸入は6,000万トンを超えるまでに増大し、前年同期比で80%の増加となった。
欧州のLNGの輸入は、以前は十分に活用されていなかった受け入れターミナルや大容量の地下天然ガス貯蔵施設により後押しされた。
10月末の時点で、欧州の天然ガス貯蔵在庫量はLNG相当で合計7,100万トンであり、1年前に比べ14%増となる870万トンの増加となり、総許容量の98%にまで達し、2018年の87%をはるかに上回って史上最高となった。
ロシアとウクライナ間のガス問題に関する協議の成り行きが不確実であることも、在庫の増加に一役買ったと考えられている。
これまでのところ、2019年には、仕向地の制約のない年間3,000万トン分に相当するLNGの販売契約および原則的合意が締結されている。また、年間6300万トン分に及ぶ5件の新しいLNG生産プロジェクトについて投資決定が行われている。
11月に、米国の連邦規制当局は、年間4,800万トン分に相当する4件の追加プロジェクトの建設も承認している。