
菅義偉首相は8日、韓国のソウル中央地裁が元慰安婦訴訟で日本政府に賠償を命じた判決について「このような判決は断じて受け入れることはできない」と反論した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
首相は、国際法上の「主権免除」の原則に触れ、「主権国家は他国の裁判権には服さない」と主張。その上で「この訴訟は却下されるべきだ」と求めた。
慰安婦問題に関しては「1965年の日韓請求権協定において、完全かつ最終的に解決済みだ」と改めて強調。「韓国政府として国際法上、違反を是正する措置を取ることを強く求めたい」と述べた。
今後の対応について、首相は「まず、この訴訟が却下されるところから始まる」と指摘。韓国側の対応を見極める考えを示した。
これに関し、加藤勝信官房長官は記者会見で「控訴する考えはない」と述べ、引き続き裁判自体を認めない立場を明確にした。その一方で、大使召還などの対抗措置については慎重姿勢を示した。
外務省の秋葉剛男事務次官は、韓国の南官杓・駐日大使を同省に呼んで厳重に抗議。中南米・アフリカを歴訪中の茂木敏充外相が、韓国の康京和外相と電話で協議することも検討している。
13日には別の慰安婦訴訟の判決が予定されている。日本政府は、同様の判決が続くことを警戒。外務省幹部は「今回と同じような判決はあり得ない。そうなった場合は粛々と是正措置を求める」とけん制した。
JIJI Press