
東芝は1日、綱川智社長と畠沢守副社長が退任したと発表した。綱川氏の後任には島田太郎執行役上席常務が昇格し、副社長に東芝エレベータの柳瀬悟郎社長が就任した。会社分割をめぐる混乱が続いており、経営体制を刷新することで立て直しを急ぐ。
綱川、畠沢両氏は取締役にとどまる。同日の取締役会で決議した。午後3時に記者会見し、経営陣交代の経緯などを説明する。
東芝は昨年4月、英投資ファンドによる買収提案を機に生じた混乱で車谷暢昭社長(当時)が辞任。会長を務めていた綱川氏が社長に復帰し、企業価値向上を求める「物言う株主」との対話を重視するとともに、後任社長の選定を進めていた。
同11月にはグループを3分割する再編計画を発表。しかし、一部の大株主の反対表明を受け、わずか3カ月で2分割への修正を迫られるなど、株主対応をめぐる経営の混乱が続いていた。
島田氏は2018年にシーメンス日本法人から東芝に移り、デジタル分野の最高責任者として量子暗号技術などの事業を推進。この分野での経験を評価した。
島田 太郎氏(しまだ・たろう)90年新明和工業入社、シーメンス専務執行役員などを経て18年東芝に転じ、20年4月執行役上席常務。55歳。大阪府出身。
時事通信