
日本取引所グループ(JPX)傘下の東京商品取引所は4日、液化天然ガス(LNG)先物を上場した。LNG先物は、海外では主にドル建てで既に売買されているが、国内市場での円建て取引も可能になった。
ただ、世界経済の見通しが不透明な中、市場では様子見姿勢も強く、初日の出来高は1枚にとどまり、関係者は「取引拡大が課題になる」と指摘した。取引の中心となる6月決済物が100万BTU(英国熱量単位)当たり4200円の初値を付け、終値も同額だった。
LNGは、発電燃料や都市ガスの原料に使用され、世界的な需要増で価格が上昇傾向にある。最近では、ウクライナに侵攻したロシアからの天然ガスに対する供給懸念を背景に急騰した。
東商取の石崎隆社長はこうした状況を踏まえ、将来売買する価格を事前に決める先物取引に関し「価格変動リスクをヘッジ(回避)するため、重要になっている」と強調。LNGを安定調達できるよう活用を呼び掛けた。
LNG先物は、3年の期間限定で取引する「試験上場」として、経済産業省から認可された。電力・ガス会社といった企業のほか、個人も取引できる。東商取は市場を常設にする「本上場」を、できるだけ早期に実現したい考えだ。
また、東商取は4日、試験上場していた電力先物を本上場に移行させた。取引は2019年9月に始まり、増加傾向にある。これまでは15カ月先の決済分まで売買可能だったが、同日から24カ月先まで取引できるよう拡充した。
時事通信