
厚生労働省は27日、企業の健康保険組合などが加入者から徴収する介護保険料に関し、同省外郭団体の社会保険診療報酬支払基金のミスで、2018、19両年度の納付額に過不足が生じたことを明らかにした。健保組合や中小企業向けの協会けんぽを中心に6億1430万円を過徴収する一方、市町村が運営する国民健康保険などの納付額は4億4927万円少なかった。
20年度中に過払い分は減額し、不足分は増額して調整する。誤差が生じた各保険の加入者は、1人当たり数十円単位で介護保険料の調整が必要になるという。
厚労省は、短時間労働者への社会保険の適用拡大など大規模な制度改正に伴い導入した保険料の激変緩和措置により、算定方法が複雑化したのが誤りの背景にあったと分析している。
27日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会で報告した。
介護保険料は40歳以上に納付義務がある。40~64歳については、健保組合などの保険者が徴収し、同基金に「介護納付金」として払った後、同基金が各市町村に交付する。
過徴収の保険者別内訳は、健保組合が2億7473万円、協会けんぽが2億8995万円などだった。
介護保険料をめぐっては今年4月、同基金の計算ミスにより、本来徴収すべき19年度の保険料が約200億円不足する恐れがあることが分かり、厚労省と同基金が謝罪した。
時事通信社