ロンドン時事: 岸田文雄首相は5日、ロンドンの金融街シティーで講演した。日本への積極投資を呼び掛け、新型コロナウイルス感染拡大を受けた水際対策を緩和すると表明。自らの看板政策である「新しい資本主義」実現に向けた今後の取り組みとして、日本国民の資産所得倍増、人工知能(AI)・量子をはじめとする重要分野の研究開発促進などを打ち出した。
首相は講演で「日本経済はこれからも力強く成長を続ける。安心して日本に投資してほしい。インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)だ」と表明。「ぜひ日本にお越しください。最大限の『おもてなし』をする」とアピールした。
コロナ対策の入国制限に関しては「6月には他のG7(先進7カ国)並みに円滑な入国が可能となるよう水際対策をさらに緩和する」と述べた。
「新しい資本主義」の取り組みとしては、人への投資▽科学技術・イノベーションへの投資▽スタートアップ(急成長する組織)投資▽グリーン、デジタルへの投資―の四つを挙げた。
具体的には、「貯蓄から投資」を加速させるため、少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充など「投資による資産所得倍増」を実現すると説明。また、AI、量子、バイオ、デジタル、脱炭素の5領域で国家戦略を示し、投資を増やした企業には大胆なインセンティブを付与すると訴えた。
海外の一流大学やベンチャーキャピタルの日本誘致、海外ベンチャーキャピタルへの公的資本の参加などを一体的に進めるとし、スタートアップ投資にも力を入れる方針も示した。グリーン投資の分野では「安全を確保した原子炉の有効活用を図る」と明言した。
首相はこうした政策課題を成功させるためだとして、安倍政権時代から続く「大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略を一体的に進める」と語り、大規模な金融緩和策を継続する意向を示した。
時事通信