
ニーマル・ナラヤナン
リヤド:国際通貨基金(IMF)の第4条協議報告書の予測では、サウジアラビアの国内総生産(GDP)は過去約10年間で最高となる7.6%の成長が見込まれ、インフレ率は2022年には2.8%にとどまるとの見込みだ。
同報告書の記述によると、サウジアラビアはビジネス優先改革と原油価格の上昇により、パンデミックによる不況から力強く回復しているという。
また、輸入品価格の上昇にもかかわらず、中央銀行が米連邦準備制度理事会(FRB)と同様に金融引き締めを行うため、2022年のサウジアビアのインフレ率は2.8%に抑制されると、同報告書には記されている。
IMFはプレスリリースで、「流動性と財政支援、ビジョン2030の下での改革の勢い、そして高い原油価格と生産量が、堅調な成長、抑制されたインフレ、強靭な金融セクターによる経済の回復を助けた」と述べている。
水曜日の記者会見で、IMFのアシスタントディレクターであるアミーン・マティ氏は、サウジアラビアの第2四半期の黒字額が210億ドルに達したことから、国内総生産の約5.5%の財政黒字を達成する見込みであると予測した。
マティ氏は、増大するサウジアラビアの黒字を効果的に活用するには、予算の配分を適正に行うことが重要であると述べた。さらに、社会的支出は黒字の増加に見合ったものでなければならず、さらに、黒字は経済活動に再投入されることになると付け加えた。
「財政ルールの導入は中期的な財政の安定化に役立ち、統合的な資産負債管理の枠組みは、サウジアラビアの財政スタンスとポジションを政府が評価するのに役立ちます」とマティ氏は述べている。
IMFの報告書には、金利の上昇はサウジアラビア経済に限定的な影響しか与えないという予想も書かれていた。
インフレ圧力の上昇に言及した際、マティ氏は「米ドルに対する固定為替相場制度は依然としてサウジアラビアに有利である」と述べた。
「国際商品価格の上昇にもかかわらずインフレが抑制されているのは、パススルーが低いためだ」とマティ氏は言う。「対外ポジションは大幅に強化され、経常収支の黒字は過去10年間で見られなかった水準に達すると予想されます」
IMFの報告書には、金利の上昇はサウジアラビア経済に限定的な影響しか与えないとの予想も記述されている。
マティ氏は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最中に付加価値税(VAT)を5%から15%に引き上げたことが、石油以外の収入の増加を促進する上で不可欠だったと説明し、税務行政上の措置も税収の維持と拡大に寄与すると指摘した。
IMFの報告書によると、公共投資基金(PIF)はギガ・プロジェクトの実施を続ける一方で、民間企業が関与するハイリターンなプロジェクトに注力すべきとしている。
また同報告書には、サウジアラビアはビジネス環境を改善するための目覚ましいステップを踏んでおり、これによって外国からの投資を呼び込むことができると記述されている。
さらに、サウジアラビアの女性の就業率は過去 4 年間で倍増し、2022 年第 1四半期には 33%となり、ビジョン 2030 計画で定められた 30%の目標を上回ったという。
非石油部門の事業からより多くの税金を徴収するための税制と歳入管理の改善は、サウジアラビアの財政再建を支えることになる。
IMF
「より包括的でグリーンな経済を促進するための優先事項には、女性の労働力参加をさらに増やすこと、PIFの介入が触媒的な役割を果たすようにすること、ガバナンスを強化すること、サウジ・グリーン・イニシアチブ(SGI)を展開することが含まれる」とIMFは報告書で述べている。
サウジアラビアではデジタル化が目覚ましい勢いで進んでおり、生産性と全体の成長を押し上げる可能性があると、同報告書は付け加えた。
「パンデミック時のデジタル口座開設やオンラインモバイル金融取引の急増は、金融包摂の向上に役立っている。成人人口の83%が2021年時点で銀行口座を所有しており、2019年の71%から増加している」と記されている。
マティ氏は会議の中で、デジタル化の進展は、将来の発展に取り組むためのしっかりと教育を受けた労働力を生み出し、海外直接投資(FDI)の将来にプラスの影響を及ぼすと語った。
IMFによると、2021年に立ち上げられた「サウジ・グリーン・イニシアチブ」は、温室効果ガスの排出を削減し、より環境に優しい成長を支援するための政策的措置を求めているという。
IMFの報告書では、サウジアラビアの経済見通しは堅調であり、同国の長期的な繁栄は、改革の勢いを持続できるかどうかに大きくかかっていると結論づけている。