岸田文雄首相は18日夜、英国のスナク首相と先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれる広島市で会談した。両首脳は安全保障や経済分野の協力強化をうたった共同文書「広島アコード」を発表。日本側は自衛隊による英軍への武器等防護の検討を打ち出し、英側は空母打撃群を2025年にインド太平洋に再派遣する計画を表明した。
自衛隊が他国軍の艦艇や航空機を守る武器等防護は、米国とオーストラリアを対象に実施済みで、英国に対して実現すれば3カ国目となる。アコードには、日本が4月に国会承認した円滑化協定(RAA)を活用した合同演習も明記。豪州と並ぶ「準同盟国」の色彩が一段と強まる。
インド太平洋地域を中心に中国が覇権主義的な動きを強める中、日英は近年、安保面の連携を深めてきた。21年には英最新鋭空母「クイーン・エリザベス」が日本に寄港。互いに物資を融通することを可能にする物品役務相互提供協定(ACSA)も既に締結している。
アコードにはこの他、半導体のサプライチェーン(供給網)構築など経済安保に関する対話推進や、サイバー分野の官民連携を通じた能力強化を盛り込んだ。国連安全保障理事会改革や核軍縮・不拡散の取り組みの重要性も確認した。
岸田首相はこれに先立ち、イタリアのメローニ首相と会談。日英伊3カ国による次期戦闘機の共同開発を進め、防衛協力を深化させることで一致した。
時事通信