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価格上昇が示す、クリーン燃料の世界の海運業への過少供給

イエメン・フダイダの紅海港で、船のそばを歩み過ぎる労働者。 (ロイター)
イエメン・フダイダの紅海港で、船のそばを歩み過ぎる労働者。 (ロイター)
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11 Jan 2020 04:01:57 GMT9
11 Jan 2020 04:01:57 GMT9

ニューヨーク:複数の市場関係者によると、ここ数カ月で超低硫黄燃料油の価格が大きく上昇し、今年から発効した新しい国際海運法の順守のための燃料供給が足りなくなるのではないかという懸念が高まっている。

超低硫黄燃料油(VLSFO)は最近、タンカー用ディーゼル燃料の一種である船舶用軽油に匹敵するレベルで取引され始めている。このことは、環境汚染度の高い高硫黄燃料から、スモッグの排出を削減するよう国際海事機関により定められた規制に準拠した、よりクリーンな製品へとタンカー向け需要が移行するにしたがい、精製業者がVLSFOの生産を増やす必要があることを示している。

これらの規則の下では、船荷主は硫黄含有量が0.5%を超えない燃料を使用するか、高硫黄燃料を洗浄して排出量を削減する清浄装置を設置しなければならない。IMO 2020として知られるこれらの規則は、世界中で50,000隻以上の商船に影響するものだ。

VLSFOの供給はアジアとヨーロッパの取引市場ですでに厳しくなっていたが、現在は米国でも同じ傾向となっている。S&Pグローバル・プラッツのデータによれば、水曜日にヒューストンでは、船舶用軽油の1トンあたり667ドルに対し、VLSFOは1トンあたり642ドルで取引されていた。半年前は152ドルあった価格差が、25ドルに縮まっている。このことはVLSFOが十分に生産されていないことを示唆しており、精製業者のメンテナンスの時期に当たる春期の供給に対する懸念を高めるものだと、在ニューヨークのS&P グローバル・プラッツの石油価格と貿易フロー分析の責任者、リック・ジョスウィック氏は見ている。

S&Pグローバル・プラッツのデータによれば、上記の価格差はシンガポールでは15ドル、ロッテルダムでは3ドルにまで縮小している。

一方、VLSFO関連株はこの傾向に伴って下落していると、ジョスウィック氏は指摘する。

「いつまでも需要に在庫で対応し続けることはできません」とのこと。 「生産の回復が必要です。取引の傾向を変えなければなりません。」

「このことは、船舶用軽油で需要の一部をカバーする必要があることを意味します」とジョスウィック氏。

S&Pグローバル・プラッツのデータでは、VLSFOと清浄装置を設置した荷主が使用する高硫黄燃料との価格差は、シンガポールでは1トンあたり330ドル、ヒューストンでは1トンあたり272ドルとなっている。この差は船主が予想したよりも大きいもので、清浄装置を設置したタンカーの運航会社に利益をもたらした、と海運情報筋は述べた。

VLSFOへの需要により、精製業者が今年中に供給量を増やす可能性がある、とヒューストンのLipow Oil Associatesのアンドリュー・リパウ(Andy Lipow)社長は見る。「VLSFOは、より販売者に有利な高価格になっていますが、いずれ新しいバランス点に落ち着くでしょう。」

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