
岸田文雄首相は5日夜、浜田靖一防衛相と鈴木俊一財務相を首相官邸に呼び、2023年度から5年間の防衛費総額を約43兆円とするよう指示した。財源については年内に決着させる考えを改めて伝えた。
現行の中期防衛力整備計画(中期防)は約27兆4700億円で、この1.5倍を上回る。浜田氏は記者団に「防衛力の抜本的強化が達成でき、役割をしっかり果たすことができる水準だ」と歓迎した。
首相はこれに先立ち、公明党の山口那津男代表と会談し、財源を巡り、自公間でハイレベル協議の開催で一致した。協議は山口氏が提案した。両党の幹事長や政調会長の参加を想定しており、与党税制調査会に先立ち、財源の大枠を議論する。
防衛財源を巡り、首相は浜田氏らに、歳出改革、特別会計の剰余金、税外収入の活用などを徹底する一方、税制措置によって必要な額を確保するよう指示。首相は、増税の税目や時期を含め年内に決着したい意向だが、政府内で有力視される法人税や所得税の増税には自民党内に異論がある。
山口氏は首相との会談後、記者団に「負担についての国民の受け止めが過大にならないようにすることが首相の指示だ。責任ある決定をしていくことが大事だ」と述べた。
防衛費を巡って、首相は先月28日、関連経費を合わせた27年度の総額を国内総生産(GDP)比2%とし、財源を年内に決着させるよう浜田氏らに指示している。
時事通信