
リヤド:サウジのエネルギー相であるアブドルアジーズ・ビン・サルマン王子は11日、欧州によるロシア産原油を対象とした制裁と価格上限設定は「まだ明確な結果をもたらしていない」と述べ、その実施の効果は今のところ不明確だとした。
海上輸送されるロシア産原油を対象とした主要7ヶ国(G7)による価格上限設定は12月5日に発効した。欧米が、ロシアがウクライナの戦争のための資金を得る能力を制限しようとする中での措置だ。
ロシアは、減産を余儀なくされるとしてもこの措置には従わないとしている。
アブドルアジーズ王子は、サウジアラビアの2023年予算の発表後に行われたフォーラムで次のように述べた。「制裁と価格上限に関して現在起こっていること、またそれら全ての措置は、12月5日に実施された措置も含め、明確な結果をもたらしていない。今のところ実施の効果は不明確だ」
また、世界市場の形勢を見る際には、これらの措置に対するロシアの反応や今後の行動も考慮すべき点であると指摘した。
「これらの措置(上限価格設定)は政治的目的のためになされたものだが、その政治的目的を達成できるかどうかはまだ明確でない」
2023年にかけての市場に影響を与える他の要因としては、中国の新型コロナ政策などがある。コロナ制限緩和が中国経済に影響を与えるには「時間が必要だ」と王子は述べた。
インフレ制御のための各国中央銀行の行動も一つの要因であることに変わりはない。
「各国中央銀行はまだインフレ管理に没頭している。これらの措置のコストやそれらが世界経済成長に負の影響を与える可能性を顧みずにだ」
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国で構成するOPECプラスが10月5日に日量200万バレルの減産を決定したことは、最近の状況を考慮すれば正しかったことが証明されたと王子は述べた。
OPECプラスは12月4日に開催した直近の会合で減産維持を決定した。経済が弱体化し、ロシア産原油への価格上限設定が市場に与える影響が不確実な中での動きだ。
アブドルアジーズ王子は、OPECプラスは来年も引き続き市場の安定に力を入れていくとした。
また、OPECプラスの全加盟国が意思決定に参加すべきだと自分が主張していることを明らかにした。
「集団行動には合意が必要だ。したがって私は、大産油国であろうと小産油国であろうと(…)OPECプラス全加盟国が意思決定に参加すべきだと主張し続けている」
「コンセンサスは市場にプラスの影響を与える」
ロイター