
東京:日本の大企業を率いる数少ない女性の一人であるサントリー食品インターナショナル社の次期CEO小野真紀子氏は、女性管理職の活躍の場の拡大と、自身がキャリアを築いた海外市場での自社の事業拡大を望んでいる。
来年初めに小野氏が社長に就任すれば、国内最大の清涼飲料水メーカーであるサントリー食品インターナショナル社は、日本の上場企業の中で女性社長が在籍する市場価格が最大の企業となる。
しかし小野氏は、2030年までに管理職の30%を女性にするという大きな目標には、13%に留まっている現状では、まだほど遠いとの認識を示した。
「その目標に到達するには、依然としてギャップがありますが、戦い続けるしかありません」と、小野氏はロイター通信に語った。
「今はキャリアのチャンスも公平になってきているので、女性も諦めずにどんなチャンスでも掴んでほしいですね」
小野氏の出世は、男女共同参画に関する多くの施策で他国に後れをとっている日本では女性としては珍しい。
東京商工リサーチの調べによると、東京証券取引所プライム市場の1,802社のうち、女性がCEOになっている企業は1%未満であることが判明した。
小野氏は、ペプシコ社の日本におけるパートナー企業である同社に、海外における潜在的なビジネスチャンスを見出した。同社はすでに収益の半分を海外で稼いでおり、米国と欧州を最大の海外市場としている。
かつて、フランスでサントリーの「オランジーナ」事業を運営していた小野氏は、「現在進出している地域でも、まだ試していないカテゴリーがあります。特に欧州では、エナジードリンクやコーヒー・紅茶の人気が高まっています」と語った。
「したがって、当社はそうした市場だけでなく、まだ進出していない国での拡大も視野に入れています」
小野氏は1982年、サントリーに入社し、フランスのワイナリーや英国の「ルコゼ」ブランドの買収に携わった。
サントリー食品インターナショナル社は、日本最大のウイスキーメーカーで、「ジムビーム」や「メーカーズマーク」などのブランドを持つサントリーホールディングスが株式の過半数を所有し、同社と密接に連携しているが、東京証券取引所に上場しており、小野氏はこれにより、より柔軟に資金調達ができるようになったと語った。
コングロマリットである同社は2000年代に欧州の清涼飲料水業界に大規模に進出し、2009年に「オランジーナ」と「シュウェップス」ブランドを、2013年には英国の飲料ブランド「ルコゼード」と「ライビーナ」の事業を買収した。
安倍晋三元首相が女性の労働参加率を高める「ウーマノミクス」政策を推し進めてから10年、近年ではサントリーや人材派遣会社のリクルートホールディングスなどが女性管理職の数値目標を発表しており、小野氏の就任はその流れを受けたものだ。
しかし、世界経済フォーラムが今年発表したジェンダーギャップ・レポートでは、日本は146カ国中116位に留まり、G7諸国では最下位となっている。
日本総合研究所の小島明子氏は、「サントリーのような大手メーカーでは、管理職クラスの女性が非常に少ない」と指摘した。
「そのため、1人の女性が最高経営責任者にまで上り詰めたという事実は、同様の企業に大きな影響を与える可能性があります」
ロイター