27日、複数の日本企業が液化天然ガス(LNG)の購入でオマーンLNG社と最大10年の基本合意に達し、米国に拠点を置くベンチャー・グローバル社とは最大20年の契約に調印した。
ロシアがウクライナへ侵攻しヨーロッパへのガス供給を削減して以降、ヨーロッパ諸国は記録的な量のLNGを輸入し、世界のLNG供給は逼迫し価格は高騰している。
オマーン国営通信社ONAが27日、日本の大手発電会社JERA、商社である三井物産および伊藤忠商事がオマーンLNG社と年間235万トンの供給契約に調印したと伝えた。
LNG輸入で日本最大手のJERAは、2025年から年間最大12カーゴ、または約80万トンのLNGを10年間にわたってオマーンLNG社から購入する主要条件概要書に調印したと発表した。
JERAは、今回調印を行ったこの契約は本船渡しを基本とするもので「高度な柔軟性」があり、国内のLNGの需給の予想外の変化に対し日本がよりよい対応をするのに役立つだろう、と述べた。
また、JERAは「LNGの調達競争が激化してきているため、国内電力の需給状況に合わせて適宜燃料を安定して調達することが、日本のエネルギー供給の安定を確保するために必要である」と述べた。
三井物産と伊藤忠商事はオマーンLNG社との基本契約に調印したことは認めたものの、詳細については公表していない。
伊藤忠商事の広報担当者によると、同社はLNGを年間70 万トン購入する20年契約をオマーンLNG社と結んでいるが、この契約は2025年に失効するため、今後の詳細を決定するためオマーンLNG社との交渉を継続する予定である。
より広範なエネルギー安全保障
これらの発表は、日本の放送局であるNHKが、上記三社が2025年から10年間に渡りオマーンより年間合計で約200万トンのLNGを確保することになると報道した後、行われた。
ある政府高官はロイターに対し、社名は明らかにしなかったものの他の日本企業もオマーンLNG社と定期契約について話し合っており、もしこれが成功すれば、日本のオマーンからのLNG輸入は年間300万トンを上回る可能性がある、と語った。
オマーンLNG社との契約は、日本の西村康稔産業大臣のオマーン訪問中に調印された。
これとは別に、石油およびガス開発日本最大手の株式会社Inpexが27日、米国に拠点を持つベンチャー・グローバルLNG社と、2023年に着工が開始される同社のルイジアナプロジェクトから年間100万トンのLNGを20年にわたって輸入する契約を結んだと発表した。
日本は合計で年間7430万トンのLNGを輸入しており、ロシアのサハリンプロジェクトからのLNGはこのうちの9%を占める。今回発表された新たな供給契約は、LNG調達先の多様化が進みサハリンプロジェクトへの依存度の軽減に役立つ可能性がある。
昨年、日本はLNGをオマーンから190万トン、米国から710万トン輸入しており、これらはそれぞれ総輸入量の2.6%、および9.5%を占めた。
ロイター