
日産自動車は8日、2023年春闘で、1人当たりの賃上げ総額を月1万2000円とする労働組合の要求に対し、満額回答する方針を示した。満額回答は3年連続で、05年以降の現行制度下では最高額となる。三菱自動車も同日、総額1万3000円の組合要求通り、満額で妥結したと発表した。
日産は年間一時金(ボーナス)についても、5.5カ月分の要求に満額で応じる方針。いずれも15日の団体交渉で、正式に労組側に回答する。
自動車大手では、トヨタ自動車とホンダが2月中に満額回答を表明するなど、15日の集中回答日を待たずに前倒しでの決着が相次いでいる。
日産の内田誠社長は8日の団体交渉で「人への投資は中長期的な競争力の源泉になる」と説明。急激に進んだ物価上昇も考慮し、要求通りに回答する意向を示した。
三菱自は、1日に先行して回答した年間6.0カ月分の一時金も含め、2年連続の満額回答となった。同社の労組は今春闘から、基本給を底上げするベースアップ(ベア)要求を見直し、定期昇給も加えた総額での要求方式に変更している。
賃金と一時金を合わせた年収ベースでの賃上げ率は、日産が5.2%、三菱自が9.0%になる見込み。
時事通信