リヤド:中東で紛争が勃発するたびに、米国の消費者ブランドはしばしば市民の怒りが向かう最初の標的となる。ガザでの戦争も同様だ。レバノンにあるマクドナルドやスターバックスの支店が攻撃され、地域全体で消費者ボイコットが発表された。
こうした攻撃やボイコットに関しては、2000年代初頭の第2次インティファーダやイラク戦争時代にも似たような光景が見られた。コカ・コーラは、多くのアラブ諸国で数十年にわたって販売禁止となっており、ライバルのペプシは今日まで市場で優位に立っている。
イスラエルが10月7日に起きたハマスによる襲撃への報復としてガザ地区への砲撃を続けるなか、アラブ人はパレスチナ人との連帯を表明し、イスラエルに対する偏った認識へ抗議するため、再び同地域の米国系フランチャイズのボイコットを開始した。
論争の中心となっているのは、世界最大のファーストフードチェーンであるマクドナルドである。イスラエルの同ハンバーガー大手フランチャイズが、ハマスと戦う最前線に駐留するイスラエル兵に数千食の食事を送ると発表したのだ。
It's not easy to commit genocide on an empty stomach, @McDonalds #Gaza#Israel pic.twitter.com/r0jjxgQz6w
— Abier (@abierkhatib) October 21, 2023
制服姿のイスラエル国防軍兵士がマクドナルドブランドのハンバーガー、フライドポテト、シェイクを楽しんでいる動画がソーシャルメディアに出回った後、アラブ人たちは同社を非難した。この光景は、境界を越えた先のガザの市民が飢えと渇きに苦しんでいるのとは対照的である。
親イスラエル的な姿勢で批判にさらされているのはマクドナルドだけではない。スターバックス、バーガーキング、ハーディーズ、KFC、ピザハット、パパ・ジョンズ、ドミノなど、他のアメリカンブランドもアラブ世界でボイコットに直面している。
「パレスチナ・イスラエル紛争が引き起こしている、アラブ諸国の米国系フランチャイズへのボイコットは、この問題が地域で引き起こす深い感情と政治的活動を強調している」と、35歳のサウジアラビア民間部門の従業員であるイーサン・アミン氏はアラブニュースに語った。
「連帯を示す方法は人それぞれだ。街頭で抗議する人もいれば、ボイコットする人もいる。私はボイコットを選んだ。これは、イスラエルを支持する欧米の偏見を訴えるための手段なのだ」。
ボイコットは、イスラエルによるヨルダン川西岸地区でのパレスチナ人の土地の占領、およびガザでの軍事作戦の支援者とみなされる多国籍企業に対してアラブの活動家が採用する、馴染み深い戦術である。
10月7日に紛争が勃発して以来、多くのアラブ諸国は、米国がパレスチナ人よりもイスラエルを支持していると非難してきた。米国の政策に影響を与える手段は限られているため、アラブの消費者は自分たちの行動で意思を示そうと、米国のブランドをボイコットすることを選んでいる。
「ガザで起きた最近の出来事は、予想通り、地域のパレスチナ人への深い連帯と、企業のメッセージに対する感度を高めた」と、米シンクタンク、アトランティック・カウンシルのempowerMEイニシアティブ議長、アムジャド・アフマド氏はアラブニュースに語った。
「グローバルブランドにとって、今は微妙な時期だ。多様な消費者を不快にさせないよう、注意深くあらねばならない」
「残念ながら、様々な地域のオーナーが存在するフランチャイザーにとって、これは難しいことかもしれない。しかし、だからといって、フランチャイザーがその責任を免れるわけではない。ほとんどのフランチャイズ契約では、特にコミュニケーションに関して、一定のコントロールが認められている」
こうしたボイコットの推進におけるソーシャルメディアの影響力は侮れない。ツイッター、スナップチャット、ティックトック、インスタグラムのようなプラットフォームは、活動家たちが自分たちの大義への支持を集め、どの企業をボイコットするか、その理由についての情報や最新情報を共有することを可能にしている。
「ソーシャルメディアの規模と拡散力を考えると、消費者による支持の持つ力はかつてないほど強力であり、ブランドに対してプラス側にもマイナス側にも、非常に大きな影響を与えることができる」とアフマド氏は語る。「特にグローバルブランドは、その広大で多様な市場領域を考えると、コミュニケーションを管理する上で独自の課題を抱えている」
しかし、顧客は企業のグローバル経営と地域フランチャイズの区別があることに気づいていないかもしれない。実際、マクドナルド・イスラエルの行動は、必ずしも会社全体や他の支店の見解を反映しているわけではない。
事実として、サウジアラビア、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦、マレーシア、パキスタンなどのマクドナルド店舗は、金銭的な救済や連帯のメッセージを提供することで、パレスチナの人々に支援を提供している。
マクドナルド・イスラエルがイスラエル国防軍兵士に食事を寄付したというニュースを受けて、マクドナルド・サウジアラビアはXに声明を発表し、これは独立した決定であり、個々のフランチャイズ・パートナーの行動は会社の方針を反映するものではないと強調した。
「純粋なサウジアラビア企業として、私たちは創業以来、サウジアラビア人であることを誇りに思い、経済と国家社会の支援に継続的に貢献し、地域社会が関心を寄せる社会的・人道的問題を取り上げてきた」とマクドナルド・サウジアラビアは述べている。
「このような価値観に基づき、私たちは、マクドナルド・サウジアラビアがガザ市民の救援活動を支援するために200万SR(53万3000ドル)の寄付を行うことを発表できることを喜ばしく思う。この寄付は、関係当局との調整に従ったものである」
カタール、クウェート、オマーン、トルコ、バーレーン、パキスタン、UAE、ヨルダン、レバノン、エジプトのフランチャイズも同様に、ガザへ義援金を寄付している。
マクドナルドの大半の店舗は、地元のフランチャイズ経営者によって運営されている。これらの経営者は、多くの点で独立した企業として行動し、賃金や価格を設定し、適切と思われる場合には、自らの裁量で声明の発表や寄付を行っている。
米国の飲食店が国際的に展開する場合、地域のフランチャイズ・オペレーターに頼るのが一般的である。そうすることで、フランチャイズ経営者は経営権をある程度フランチャイジーに譲り渡すことになる。
そのため、政治的に意味のある変化をもたらすボイコットの効果については、依然として議論の的となっている。批判派は、米国のフランチャイザーに与える影響は限定的かもしれないと主張するが、支持派は、ボイコットが連帯と抵抗の強力な表現として機能すると信じている。
「中東の消費者は、自分の財布を使って投票することで、ブランドに圧力をかけることができる。中東の消費者は、財布で投票することによってブランドに圧力をかけることができる。彼らの行動は世界的な動きを引き起こす可能性もあり、効果を倍増させるかもしれない」とアフマド氏は述べた。
「経済的圧力を行使することは、特に自由が制限されている国においては、抗議するための最も強力な手段となりうる。歴史的に見ても、経済的圧力やボイコットは、米国の公民権運動やアパルトヘイト下の南アフリカ、そして最近ではロシアに対してなど、効果的に使われてきた」
「米国がイスラエルを明確、かつ揺るぎなく支持しているため、米国ブランドは特に脆弱だ。短期的にはネガティブな影響を受けるに留まるかもしれないが、長期的にはダメージのリスクが高まる可能性がある。米国の人気ブランドが米国のソフトパワーの台頭とともに繁栄したように、その潜在的な衰退により、ともに弱体化するだろう」
このようなボイコットの最も顕著な例は、2017年に米国がエルサレムをイスラエルの首都として公式に承認し、その後大使館をテルアビブからエルサレムに移転した後に起こった。
この動きは、エルサレムの地位に関する長年の国際合意から大きく逸脱したものと見なされ、アラブ世界全体で非難を浴びた。
これを受けて、多くのアラブ諸国の消費者や企業は、マクドナルド、スターバックス、KFCといった米国のフランチャイズ店に対するボイコットを先導した。
ボイコットは目に見える経済的影響を与える場合もあるが、長期的にこれを継続するのは難しい。
「私たちが必ずしもフランチャイズに実質的な経済的影響を与えられるとは限らない。しかし、ボイコットはパレスチナの大義に対する連帯の象徴だ」と、ボイコット運動に参加しているアミン氏はアラブニュースに語った。
「ボイコットはまた、この地域で深く共鳴する複雑な地政学的問題に関与する方法でもある」