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メディアクリエーターたちを憂鬱な気分にするChatGPTメーカーによる新AIビデオツール

モニター上で展示されている、OpenAIが新たにリリースしたテキスト動画変換ツール「Sora」で作成された動画の一部である写真・イラストレーション。2024 年 2 月 16 日。ワシントンD.C.。
モニター上で展示されている、OpenAIが新たにリリースしたテキスト動画変換ツール「Sora」で作成された動画の一部である写真・イラストレーション。2024 年 2 月 16 日。ワシントンD.C.。
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21 Feb 2024 01:02:52 GMT9
21 Feb 2024 01:02:52 GMT9
  • ビデオゲーム制作企業も、他の産業と同様、ジェネレーティブAIの影響を受ける可能性が高いため、ビデオゲーム業界内部でも反応は二分しており、新しいツールの導入に前向きな人々とジェネレーティブAIが自らに取って代わるのではないかと懸念する人々がいる。

パリ:簡単なテキストコマンドから短いビデオを作成可能な新しい人工知能ツールが、アーティストやメディア専門家たちの疑問と懸念を掻き立てた。

ChatGPTおよび画像生成モデルDALL-Eの開発企業「OpenAI」は、2月14日、ユーザが簡単なプロンプトを入力するだけで現実感の高いビデオを作成できる「Sora」というテキストからビデオへのモデルを検証していると発表した。

サンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業であるOpenAIは、Soraが、依然として「左右を混同する」可能性があるといった限界を抱えつつも、「複数のキャラクター、特定のタイプの動き、被写体と背景の正確な細部を有する複雑なシーンを生成出来る」と発表した。

新たな生成人工知能(AI)ツールの影響を受け得る業界の初期反応は次のようなものだ。

OpenAIのウェブサイトで公開されているSORAを用いた短いビデオ作例集は、一見実際のドローンで上空から市場の雑踏を撮影したかのような映像から森の中を跳ね回るウサギのような生き物のアニメーションまで、スタイルも主題も多岐にわたっている。

「カットバック・プロダクションズ」の創業者でアート ディレクターでもあるトーマス・ベレンジャー氏はジェネレーティブAIによる画像生成の進化を注視してきた。

「驚異的な速度で進歩する、止めようのないうねりだと感じた人々もいれば、見たくもないという人々もいました」と、ベレンジャー氏は語った。フランスに拠点を置くベレンジャー氏の会社は、ストロマエやジャスティスといったミュージシャンのツアーのための大規模な視覚効果を制作してきた。

ベレンジャー氏は、ジェネレーティブAIの開発は社内で「多くの議論を呼び」、「感情的な反応が引き起こされることもしばしばでした」と述べた。

ベレンジャー氏は、Soraはまだリリースされておらず、その機能は一般ユーザーに検証されていない点を指摘した。

「たった数週間でこれほどの技術的進歩が発生し得るとは誰も予想していなかった事は確かです」と、ベレンジャー氏は語った。「前代未聞です」

ベレンジャー氏は、将来の展開がどうであれ、ジェネレーティブAIは「全く新しい創作方法に繋がって行くことになるのでしょう」と語った。

ビデオゲームの制作企業も新たな発明の影響を被る可能性が同様に高い。この産業分野でも反応は二分しており、新しいツールの導入に前向きな人々とそれが自らに取って代わるのではないかと懸念する人々がいる。

フランスの大手ビデオゲーム企業「ユービーアイソフト」は、OpenAIの発表を、プレイヤーや開発チームが創意を存分に発揮出来るようになる可能性を秘めた「飛躍的な前進」だと評価した。

ユービーアイソフトの広報担当者は、AFPの取材に応えて、「私たちはこの可能性を長い間模索していたのです」と語った。

ナントを拠点とするスタジオ「アルケミ」の代表のアラン・ピュジェ氏は、「人間が行った事を再現するだけ」のAIツールでアーティストを置換するつもりはないと語った。

とはいえ、ピュジェ氏は、この「視覚的に印象的な」Soraというツールには、小規模なスタジオでより専門的な画像制作を行うために使用できる可能性が秘められていると述べた。

ゲームのストーリーを進行させるために時折再生されるビデオの「カットシーン」は、プレイヤーの制御下にあるアクションとは異なるものの、Soraのようなツールがいずれ「私たちのやり方」に取って代わり得るとピュジェ氏は期待している。

元ジャーナリストで現在はスタンフォード大学の研究者であるバジル・サイモン氏は、現実感の高いまやかしを迅速に作成できるジェネレーティブAIは「この1年で恐ろしいほどの進化」を遂げたと考えている。

サイモン氏は、こうしたツールが選挙中にいかに悪用され得るかについて懸念し、一般市民が「何ならば信じ得るのか分からなくなる」ことを心配している。

フランスのテレビ局「フランス・インフォ」の事実確認番組「本当か嘘か」のジュリアン・ペイン氏は、AIツールの悪用についても不安を覚えていると語る。

「これまでであれば、例えば、背景にある顔の繰り返しに気付くといった具合に、偽の画像は簡単に見分けがつきました」と、ペイン氏は語った。

「この新しいソフトウェアは別のレベルの事を行っているようです」

OpenAIや米国のハイテク企業大手はAIが作成した画像であることを明示するために業界全体で標準化した透かしといった安全のためのツールを推進するかもしれないが、「中国やロシアの将来の競合企業はどうするでしょうか?」と、ペイン氏は問いかけた。

ロンシャンやバドワイザーといったブランドと提携してきた広告代理店のフレッド&ファリドは、1月初旬にAI専用のスタジオを開設し、「ブランドコンテンツの80パーセントが人工知能によって生成されること」を期待している。

「創造的な才能」はジェネレーティブAIツールのおかげで制作スキルに制限されなくなるのだと、あるメディア作品制作の愛好家は力強く語った。

広告・インフルエンサー・エージェンシー「OTTA」の創業者で最高経営責任者のステファニー・ラポルト氏は、このジェネレーティブAIというテクノロジーが「業界を進化させる」と確信している。

ラポルト氏は、また、予算が潤沢ではない広告企業は、人件費削減のためにAIツールを用いるようになると予想している。

例外があるとすれば、ブランドが「真正であることに非常に敏感」で「AIの使用がおそらくは控え目になるであろう」高級品セグメントだとラポルト氏は考えている。

AFP

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