2025年大阪・関西万博の開幕まで13日で半年となった。会場予定地、大阪市の人工島「夢洲」では、シンボルと位置付ける木造の「大屋根リング」がつながり、遅れていた海外パビリオンの建設も急ピッチで進む。一方で、前売り入場券の販売は目標の半分程度で、魅力発信の強化は急務。交通アクセスの確保や安全対策といった運営面の課題も山積している。
◇「若者」「関西以外」に照準
23年11月末から始まった前売り入場券の売り上げは今月9日時点で約714万枚。日本国際博覧会協会が開幕までの販売目標に掲げる1400万枚の51.0%で、関係者からは「本当に(目標枚数が)売れるのか一抹の不安がある」(関西経済連合会幹部)との声も上がる。
機運醸成のため、目玉の一つとされるのが日本の観測隊が南極で採取した世界最大級の「火星の石」の一般公開だ。展示以外では、人気歌手「Ado」さんの開幕スペシャルライブや、海外有名アーティストによるイベントも予定しており、協会幹部は「若者に関心を持ってほしい」と語る。
関西圏以外での盛り上げも重要だ。協会は9月25日、公式キャラクター「ミャクミャク」のグッズ販売や万博の展示紹介を行うため、東京都内に万博の情報発信基地を開設した。政府は、全国の学校での出前授業や自治体を通じた参加国と住民との国際交流も企画している。
2025年大阪・関西万博の情報発信基地=9月25日、東京都港区
2025年大阪・関西万博の情報発信基地=9月25日、東京都港区
◇交通・防災対策も
運営面の課題もある。会場は人工島で、鉄道でのアクセスは大阪メトロ中央線のみとなり、混雑が予想される。大阪府・市は今月にかけ、協力依頼に応じた企業のテレワーク、時差出勤を試行した。防災では、災害時の避難誘導などをまとめた計画を策定。被災後、会場の「孤立化」といった万が一に備えた近隣自治体との連携も検討しており、来場者の安全確保に努める。
時事通信